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気候変動に関する日本の優れた農業技術が世界を救う!?

塩津 文隆 塩津 文隆 明治大学 農学部 准教授

日本の稲作における適応策は非常に優れている

 農作物に対する適応策にはいくつかの方策があり、それぞれの効果や、実施にかかるコスト、時間などを考慮して導入することになります。私の専門である稲に関していえば、例えば、高温耐性品種の開発があります。各地の農業試験場などで開発が推進されており、すでに、福岡県の「元気つくし」、「にこまる」、埼玉県の「彩のきずな」、山形県の「つや姫」など、高温耐性に優れ、食味にも優れた品種が誕生しています。品種改良は高い効果が期待できますが、開発には10年くらいかかるなど、時間がかかるというのが難点になります。一方で、稲の栽培方法を変えるという適応策もあります。出穂の時期と酷暑の時期が重ならないように、田植えの時期を変える方法です。一般には遅植えといわれ、5月に行っていた田植えを6月にずらすこともあります。コストと時間はこれまでと大きく変わりません。予想通り、出穂の時期が高温にならなければ、効果が期待できます。施肥の管理による適応策もあります。施肥を行う時期を変えたり、量を変えることで白未熟粒を抑えることができることがわかってきています。こうした栽培方法の対応、すなわち適応策を実践することで気候変動が稲の収量や品質へ及ぼす悪影響を軽減・回避することができます。また、日本は灌漑水田の面積がほぼ100%です。ところが世界を見ると、灌漑水田は50%ほどで、天水田が25%あります。川などの水源から水を引く灌漑水田に対して天水田は降雨頼みで、気候不順のために生産量が激減することもあります。適応策の観点でいえば、灌漑水田は効果が高いのですが、新たに用水路を作るなど土木工事が必要なケースもあるなど、コストがかかるのが難点です。

 すでに、日本には稲作についてのさまざまな適応策が存在しており、優れているのがわかります。農業試験場などの研究成果を農家が共有する体制も整っており、農家の情報量や意識も高いレベルにあります。ところが、世界の稲作現場を見ると、適応策の整備が進んでいなかったり、現地の研究者は危機感をもっていても、農家は深刻に感じていなかったりする地域が多いです。そのため、安倍首相も、2014年の国連気候サミットで、日本の気候変動に関する技術で開発途上国に貢献することを発表しました。そのプロジェクトのひとつに私も関わっています。

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