北朝鮮は日本のビジネス界にとってパートナーとなり得る
一方、北朝鮮は、6月の米朝会談で、トランプ大統領から体制保障を引き出したように、自らの体制を生き残らせるのが最大の目的です。しかし、それは簡単なことではありません。近年では逆転していますが、1970年代までは北朝鮮の方が韓国よりも経済的に発展していました。ところがそれ以降韓国にどんどん差をつけられてきた現在、国を握ることになった金正恩委員長が、北朝鮮が行くべき道と考えているのは、おそらく、中国のような資本主義的な社会主義になることです。つまり、小さな中国になろうとしていると思います。実際、それが北朝鮮の体制を存続させる針の穴のようなチャンスだと思います。そのために、金正恩委員長はアメリカから、まず体制保障を取付け、今後は朝鮮戦争の終戦を目指し、北朝鮮という市場をコントロールしながら開放していくのではないでしょうか。日本人は、安倍政権の、北朝鮮脅威論というプロパガンダによりバイアスがかけられている状態ですが、若いころからヨーロッパで学び、日本を訪れたこともあるといわれる金正恩委員長は冷静な交渉相手であり、破局的な選択をする政治家ではないと思います。ある意味、北朝鮮は日本のビジネス界にとってもパートナーとなる可能性が高いのです。
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