心理的安全性は組織・個人ともに重要
心理的安全性という言葉を聞くと、「誰もが安心できる場所」をイメージするかもしれませんが、実際には少し違います。心理的安全性とは、本来、組織の中で「自分が皆と違う意見を言ってもOKだ」あるいは「上司やチームに遠慮せずに問題点を指摘できる」といった、個人が組織の中でリスクを取っても大丈夫だと思える状態を指します。
たとえば、「すみません、この計画にどうしても違和感を感じるのですが」と率直に言っても、上司やチームが耳を傾けて受け止めてくれるかどうかがポイントになります。つまり、失敗を恐れずにチャレンジすることが許される環境が心理的安全性の本質なのです。
これは個人のワークエンゲージメントだけでなく、組織を考える上でも重要です。心理的安全性の高いチームでは、メンバーはリスクをとってもそれによって評価を下げられたり、人間関係を悪化させることがないと相互に信じられています。
逆に、心理的安全性が低いと、物事の問題点や欠陥を指摘できなかったり、組織的な隠蔽が常態化するという悪い状況に陥り、プロジェクトの失敗や企業不祥事を招く原因になるとも指摘されています。したがって、組織の健全な運営のためにも、心理的安全性の担保は軽視できません。
それでは、チームや組織におけるインクルージョンや心理的安全性を担保するには何が重要なのでしょうか? さまざまな関連要素がありますが、ここでは「インクルーシブ・リーダーシップ」を紹介したいと思います。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。