Meiji.net

2014.12.01

ファミリービジネスが地域経済を立て直す ―日本全体にダイナミズムを復権する―

  • Share

農業の成長が地域経済活性化の起爆剤になる

 ファミリービジネスの観点から私が注目しているのが、安倍政権において成長分野と目される農業だ。日本の農家の多くは家族経営であり、農業もまたファミリービジネスベースの企業といえる。まず、日本の農業を考えてみた場合、国内市場は成熟しており、少子化に伴い、今後伸びていくとは考えにくい。そうであれば海外に市場を求めていく必要があるだろう。その場合、農産物の輸出に加えて、日本の高度なノウハウを輸出することを考えるべきだ。高品質の農産物を作れる日本の農業のノウハウ・技術は、多くの国が求めている。先進国を中心に、海外では日本食ブームが続いており、この傾向を日本の農業(企業)成長の起爆剤として活用できればと考えている。
そのためには、従来の農協が農家から買い上げる仕組みを打破し、それぞれの農家が少量多種の付加価値の高い農産物(果実、葉物野菜等々)を国内・海外マーケットのニーズに合わせて供給していく仕組みが求められる。そうしたことを指向する、40~50代の若手農業経営者も現れてきており、農業が「儲かるビジネス」へ、そして「楽しいビジネス」へ進化していく可能性は大いにある。農業に注目するのは、商工業などと違って、「動けないビジネス」だからである。農業は地域から離れることはできないことから、農業の成長発展は地域経済の活性化に大きく貢献するのである。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Share

あわせて読みたい