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2014.12.01

ファミリービジネスが地域経済を立て直す ―日本全体にダイナミズムを復権する―

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ファミリービジネスが支える日本経済

 日本の企業の99%は中堅中小企業によって占められているが、その多くはファミリービジネスである。大企業と呼ばれる企業が盛んに海外投資をするのに反して、地場産業でもある中堅中小企業は地域に根差しており、疲弊した地域経済を立て直すには、ファミリービジネスの成長発展がカギを握っているといっても過言ではない。上場企業が株主に抗うことができないことに対して、ファミリービジネスベースの企業は未上場であるからこそ、自分たちの価値観で、イノベイティブな事業展開も可能になる。さらに、長期的な視野に立ち、持続的に事業を運営できる。
しかし、ファミリービジネスにも問題はある。ファミリービジネスはファミリーによって所有され、同時に経営されていることが多い。多くの上場企業のように、オーナー(株主)と経営者を分けていない。そのため、マネジメントの仕組みは複雑であり、適切なガバナンスが困難な場合もある。ビジネス、オーナー、ファミリーが相互に強く影響し合い、また牽制し合うためだ。マネジメントやガバナンスに問題があると、ファミリービジネスのイノベーションは、時として「暴走」となるのである。しかし、こうしたネガティブな部分にフォーカスするのではなく、自治体や地方金融機関、教育機関などが一体となってファミリービジネスのポジティブな面を引き出し、支援することが、地域経済再生につながっていくと考えている。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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