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2014.11.01

女性が変える日本の未来 ―求められる女性が活躍できる企業組織―

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人それぞれに向き、不向きがある

 私は、女性すべてが社会進出してビジネスの現場で活躍すべきと主張しているわけではない。女性にせよ男性にせよ、人それぞれモノの考え方や感じ方は多様であり、誰でも「向き・不向き」がある。私が言いたいのは、社会で活躍したいと思う女性、そうした生き方が向いている女性が差別的待遇を受けることなく存分に活躍できる組織・環境を整える必要があるということだ。たとえば、男性にしても企業で働くのではなく、「専業主夫」として家庭に入った方が向いている人もいるはずである。たとえば女性が出産して退職すれば周囲は自然なことと受け止めるだろうが、「子供が生まれたので退職する」と男性が言えば、大半の人は違和感をもって捉えるのではないだろうか。ここにジェンダーの問題がある。性差に関わらずすべての人が、持てる能力を十分に発揮し正当に評価される社会であるべきと考えている。したがって、男性でも女性でも、専業主婦であることが自分に向いていて、生活上の支障もなく、その生き方に真の幸せや自己実現を感じることが出来るのであれば、それで何ら問題はない。

ダイバーシティは競争力になる

牛尾奈緒美教授 女性の能力が活かされない、女性が活躍できない状況というのは、大きな社会的損失である。マクロ的には、日本は人口減少社会に突入しており、それに応じて労働力人口も縮減していくとみられる。日本の経済成長、国力の維持のためには、女性の労働力は不可欠なものとなりつつある。ミクロ的な経済においても、女性の活躍は少なくないインパクトをもたらす。たとえば、男性とは異なる、女性のイノベイティブな考えやアイデアが商品開発等に反映され、競争力を向上させる可能性は大きい。
私はこのほど『女性リーダーを組織で育てる仕組み』というタイトルの本を上梓したが、安倍総理に推薦文を書いていただいた。その骨子は「ダイバーシティは企業の競争力になる」というもの。総理は経団連に対して、女性の管理職登用の促進を要請し、各企業に一人は女性役員を登用するような積極的な働きかけを行っており、女性の活躍推進に対する経営者側の意識も変わらざるを得ない状況にきている。女性が能力を十分に発揮して活躍できる組織・環境を整備することは、日本の未来を拓く重要課題であり、日本の未来のために避けては通れない必須のことなのだ。日本の未来は女性の力が変えていく――私は、そう確信している。

※掲載内容は2014年11月時点の情報です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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