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自社のあり方は自分たちが決める。それがパーパス

古川 裕康 古川 裕康 明治大学 経営学部 准教授

私たちも自分らしさを育むことが重要

 パーパスという言葉が使われるようになったのは近年ですが、「理念」という考え方をもった企業は古くからありました。

 例えば、トヨタは織機メーカーから始まり、なぜ、世界トップの自動車メーカーに成長したのか。音響メーカーであったソニーは、なぜ、エンターテインメント産業の旗手として発展したのか。それは、自分たちが存在する理念をしっかりもっているからです。

 だから、化石燃料による内燃機関の歴史が終焉することになっても、トヨタは新たな分野で企業活動を持続させていると思います。時代によってエンターテインメントの形がどんなに変わっても、ソニーは、その時代の人々にドキドキ感やワクワク感を提供し続けていると思います。

 こうした企業は、たとえVUCAの時代にあっても、右往左往したり、逆に、頑なに、自分たちのやってきたことに固執するのではなく、自分たちは社会とどう関わるのかを明確に表す理念を一本の串、軸として、柔軟に対応できると思います。

 パーパスがステークホルダーや社会に共感されるためには、トップをはじめとして、企業としての発信力、コミュニケーション力が重要です。

 現代は、SNSの発達などにより、だれもが自分の思いや考えを容易に発信できるようになっています。また、だれもがそうした情報に触れることができます。こうした技術を上手に活用する重要性は、これからますます高まると思います。

 また、このことは企業活動に限らず、私たちひとりひとりも同じです。

 容易に情報発信できるからこそ、なにを発信するかは重要で、自分の教養や体験を基にした自分なりの思いや考えをもつことが、まずは大切です。企業と同じで、見せかけのウォッシュでは信頼も共感も得られません。

 また、玉石混淆のデータが溢れているなかで、それに振り回されず、俯瞰的に分析し、判断する能力を身につけるためにも、自分の考えをしっかり磨くことが大切です。

 本当の意味での柔軟な生き方であり、ブレない生き方は、そうした自分らしさが支えになると思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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