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「経営を見える化」する力が「ビジネス」を変える

青沼 君明 青沼 君明 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授

社会人として必要なスキルを身につける

青沼 君明 企業には、データ・サイエンティスト、リスク・マネジメント、AIなどのスキルをもった人材を求める動きが広がってきており、文系、理系に関わらず、学生はこうした知識を身につけることが必要になってきています。

 一方で、すでに社会で活躍している皆さんも、本学をはじめ、多くの大学で実施している社会人大学院などを利用して、こうしたスキルを身につけることが重要だと思っています。

 その基礎となるのが数学となります。

 例えば、企業評価を将来のキャッシュフローによって計算しようとしても、その水準は現時点では確定しておらず、様々な水準となる可能性があります。

 こうした現時点で値が決まっていない変数のことを確率変数といいますが、値が決まっていないキャッシュフローを評価するには、期待値の現在価値で評価するのが一般的です。

 そのためには、確率分布の概念を利用して期待値を計算し、現在価値に直すために金利のべき乗計算などによる割引率を求める必要があります。

 また、為替の変動によって企業収益がどの位影響を受けるのかという感応度分析では微分の概念が利用されます。

 これらの事象からも、「経営を見える化」するためには、ある程度の数学的な知識がスキルとして求められていることが理解できます。

 皆さんの中には、学生時代、「微分・積分などの数学が、将来何に役立つのかという事も分からないまま、式を解くという事が難しくて苦しんだ」という人もおられると思います。

 しかし、こうした数学の概念は実社会で益々重要となってきています。

 実務において主として求められるのは、式の意味を理解し、実務の問題を直感的な式(モデル)で説明する力となります。式そのものを解いたり複雑な計算をするのは、場合によってはExcelなどに任せ、難しい数式を解く必要がある場合には、専門家に頼れば良いのです。

 ある企業で、営業マンの成績を、学歴や家族構成、入社時のSPI試験の評価値、入社後の評価ポイントなどのデータを用いて分析したところ、成績の良い営業マンには「数学力が高い(数字に強い)」という傾向があるということがあげられていました。

 その理由としては、「論理思考ができること」と「物事を客観的な数字で示すことができる」というスキルが想定されていました。

 このことは、熱意で売り込む営業マンと、商品の特性や、それを買うとどんなメリットが生まれるのかを、論理的に数字などを使って説明する営業マンがいたら、どちらの声に耳を傾けるかという事を示しているように思います。

 これからは、ネットワークを用いたコミュニケーションが益々重要となってきますが、そこでは客観的な数字や直感的によって、メリットやリスクを説明できる力、提案力が求められます。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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