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「経営を見える化」する力が「ビジネス」を変える

青沼 君明 青沼 君明 明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授

企業が重視するデータの活用

 IoTやAIといったデジタル化の流れに対応するための基本は、データによっていかに「経営を見える化」するかということです。企業や商品と顧客の関係、リスクとリターンのバランスなど、具体的な数値として客観的な比較分析ができることが求められています。そしてそれは社内戦略だけでなく、対顧客に対してもデータを用いた提案力が求められています。

 このとき、統計の値や分析の結果などを示すだけでは、それは、集めた情報を、ただ、数字の羅列で見せることに過ぎません。ここで大切なのは、それを社内や顧客のニーズに応じて読み解いた数値として「見える化」し、それを基に提案することなのです。

 最近では、こうしたスキルを持った人材を「データ・サイエンティスト」と称し、人材評価の柱の1つにまでなってきています。また、スキルの評価ポイントとして、「AIへの対応」、「リスク・マネジメント」、「フォワード・ルッキング」というようなものも重要視されています。

 ここで、AIの利用について考えてみます。確かにAIは、人では処理することができないほどの膨大なデータや、人には無関係に思われる分野のデータを関連づけて、迅速にデータの特性を分析することができます。しかし、その分析結果を判断し、利用するのは、あくまでも人なのです。

 例えば、AIに人物に関する様々なデータを取り込むことで、成績の良い営業マンの特徴などを分析することができます。しかし、その分析結果からなにを読み取り、企業としてどのような行動を起こすべきなのかを判断するのはあくまでも人の仕事なのです。

 人事部の人であれば、どのようなテーマを研修に取り入れれば営業マンたちが伸びるのかを考えるでしょう。その結果を、またAIに分析させることを繰り返していけば、研修をさらに有効なものとして発展させていくこともできます。

 AIを有効に活用することが、「AIへの対応」なのです。

 企業経営には、常にリスクがあります。そのリスクは、取引相手先の倒産や、為替や原材料コストの変動など、様々です。

 それらのリスクを洗い出し、リスクごとに起きる可能性や頻度、起きたときの損失や影響を予測し、どのような備えをすることが最も有効なのかを考えるのが「リスク・マネジメント」であり、将来のビジネス環境を予測し、それに事前に対応する考え方が「フォワード・ルッキング」です。

 グローバリゼーションが進むビジネスの世界では、リスクのファクターを洗い出すためにはマクロ経済、世界の経済状態の知識が必要ですし、同じファクターでも、企業によってリスクの度合いが異なることを考えなくてはいけません。

 また、データを必要な読み取り方に応じてわかりやすいグラフなどに加工する力も「見える化」に重要なスキルです。それによって、そのデータからの必要な読み取りを多くの人と共有することができるようになります。

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