座右の銘、私のモットー「考えるより、まずはやってみる」
教授陣によるリレーコラム/座右の銘、私のモットー【7】
私は「座右の銘」と呼べるような格好いい言葉を持っているわけではありません。ただ、自分の中で常に意識しているのは「考えるより、まずはやってみる」という姿勢です。
もちろん、何事も熟考することは大切です。しかし、頭の中だけで考えていても、新しい発想や突破口はなかなか見えてきません。むしろ、実際に手を動かしてみることで初めて気づけることがたくさんあります。
だから私は「とりあえずやってみて、走りながら考える」ことを信条にしています。悩んで立ち止まるより、一歩を踏み出す方がはるかに大事なのです。
研究指導においても、この考え方は大切にしています。学生と議論しているとき、「もしかすると失敗するかもしれないけれど、まず試してみよう。その結果を見てから次を考えればいい」と声をかけるようにしています。
失敗すること自体は誰にとっても怖いものです。しかし挑戦を恐れていては、そもそも何も始まりません。リスクを取る覚悟こそ、新しい発見や成果につながるのだと思います。
印象に残っている経験があります。私が企業に勤めていた頃、モータドライブの研究に取り組んでいたときのことです。ある製品の性能がどうしても出せず、開発チーム全体が行き詰まっていました。
私はモータ制御が専門で、設計は専門外でした。それでも思い切って「こうしたらどうだろう?」と自分なりのアイデアを提案しました。設計の専門家から見れば、かなり型破りに映ったかもしれません。ところが、その手法を実際に試してみたところ、問題が解決し、最終的には製品化につながったのです。
この経験から強く学んだのは、「机上の空論では成果は出ない」ということです。もちろん、そのとき成功したのは運が良かった部分もあるでしょう。それでも、行動に移さなければチャンスは訪れません。実際にやってみることがすべての出発点なのです。
現在は大学で学生とともに研究をしていますが、若い世代の柔軟な発想には驚かされることが多いです。学生が「こんなことをやってみたい」と自ら提案してくれることもよくあります。その姿勢に触れるたび、「まずは挑戦すること」が持つエネルギーの大きさを改めて実感します。
私自身も研究の枠を超えて、新しいことに挑戦しています。例えば研究内容をより多くの人に理解してもらうため、自分で漫画を描いて研究室のホームページで公開したり、YouTubeに解説動画をアップしたりしています。
最初は不慣れでしたが、「まずはやってみる」うちに少しずつ上達し、今では多くの方に「わかりやすい」と言っていただけるようになりました。
失敗を恐れず、挑戦を楽しむ。その積み重ねが研究にも人生にも新しい道を切り開いてくれると信じています。そして何より、そうした挑戦の姿勢を学生や若い人たちに伝えていくことが、私の役割でもあると考えています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
