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「好き」を研究する自由なゼミを目指して
2025.07.02

学びを加速させるアドバイス「好き」を研究する自由なゼミを目指して

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【3】

卒論でもそうですが、学生自身が学びに関心を持つことが何より重要だと考えています。講義やテキストの知識を土台にしながら、自分の興味と結びつけることで、学びは深まり、成長を後押しするものになります。

ゼミ生と卒論のテーマを相談する際、私自身の研究について話すことがあります。あるとき、一人のゼミ生が「先生と同じ研究をやってみたいです」と言ってくれたので、一緒に調べ始めました。しかし、なかなか進捗が芳しくありません。

そこで、「あなたは何が好き? 普段どんなコンテンツに触れているの?」と質問してみたところ、「海外の対戦型ゲームの実況を見るのが好きで、日本でも人気が出ています」と教えてくれました。

そのゲームのどこが面白いのかを聞いてみると、その学生は驚くほど熱心に説明し、後日、素晴らしいプレゼンまで用意してきたのです。それまでの苦戦が嘘のように、自分の興味と学びが結びついた瞬間でした。

大学生は、どこかでまだ受験勉強の名残があるのかもしれません。しかし、大学以降は主体的に学ぶことが重要になります。そのためには「自分が本当に好きなことに目を向け、のめり込むこと」が大切です。

この考え方は、学生だけでなく、社会人にも当てはまるのではないでしょうか。日本では、個人が社会に合わせることが重視されがちですが、それだけではなく、自分自身の「表現の場」を持つことも大切です。たとえば、SNSで自分の考えを発信したり、趣味を楽しんだりすることが、学びの幅を広げるきっかけになるかもしれません。

そして、人々が自分の「表現の場」を持つことは、文化を豊かにし、社会全体にも良い影響を与えるはずです。すべての活動に見返りを求めるのではなく、ただ「好き」という気持ちを大切にすることが、結果的に新しい価値を生むのではないでしょうか。

私も日々、そうしたことを考えながら、学生と向き合っています。ゼミでは「好きなことを自由に考えていい」という雰囲気をつくり、学生がのびのびと学べる場を目指していきたいと思っています。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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