
アイデアの泉時代を映す作品から、幅広い視点を身につけよう
教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【74】
私は平安文学を専門にしているのですが、自分のこどもが見ている本や漫画、アニメなどから研究のアイデアを得ることがあります。
これらの作品は如実に時代を反映しており、千年前の文学や、各時代の享受を考える上で参考になるからです。
例えば竹取物語の主人公の「かぐや姫」をモチーフにしたキャラクターが、こども向けの様々な作品に登場しているのをご存知でしょうか。
日本人が思う理想の女性のような形で出てきたり、逆に悪役として描かれたり。
物語が親しまれ、色々な解釈をされるようになって、非常に面白い発展をしています。
最近は「鬼」をテーマにした漫画などがヒットしていますが、単純に「鬼」を排除する話ではなく、「鬼」と「人間」の間に介在するキャラクターが、二つの分断する社会を繋いでいくように描写されています。
映画でも大ヒットした「鬼滅の刃」は、主人公が、鬼と化した妹を人間に戻す方法を探しながら、鬼と戦い成長していくストーリーです。
片方が絶対悪で、もう片方が正義という勧善懲悪ではなく、両方の世界を理解できるような内容になっています。
本や漫画、アニメに限らず、同じテーマを扱っていても、時代によって解釈や捉え方が変わるということはあるものです。
ビジネスの世界でも、多様な角度から物事を見ることができれば、新しい発見があるのではないでしょうか。
世代や価値観の違う人と話したり、流行のカルチャーに触れたりすることで、時代のニーズをキャッチできるようになるかもしれませんよ。
*ホームページ「Koudansyou─古典と現代」
http://blog.livedoor.jp/yuas2018/
平安文学と現代との接点や、大学の授業について書いています。よければこちらも参考にしてください。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。