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フリードマンの『選択の自由』を読んで研究の道へ
2024.11.20

人生のターニングポイントフリードマンの『選択の自由』を読んで研究の道へ

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【92】

私のターニングポイントは、ノーベル経済学者であるミルトン・フリードマンとローズ・フリードマンの著書『選択の自由』を読んだことです。

大学3年生から入ったゼミが経済学のゼミであり、そのゼミで『選択の自由』を精読したことで、経済学の面白さを知りました。

『選択の自由』は、現代でいう新自由主義の理論に近く、基本的に市場の自由にまかせる小さな政府を志向せよという内容です。

社会現象は混とんとしているようでも、人々の経済的動機から、経済法則が導かれ、それよって、現実の社会現象が論理的に説明されることに感動した覚えがあります。とくに経済学においては「好ましい動機が好ましい結果を導くとは限らない」ということを理解しました。

もっとも、なんでも市場に任せきりでは社会に歪みが生じますから、民間だけでなく「公共」の観点から課題解決を試みるのが私の専門である公共政策の役割なのですが、当時、学部生だった私には、フリードマンは人間の行動原理を極めて明快に説明しているように思えたのです。

その後、卒業論文で経済学を使って日本の社会を分析しました。その論文を試しに懸賞論文に応募してみたところ入賞したので、これをきっかけに研究者の道を志すことになりました。

大学院では、仲間にも手伝ってもらいながら、苦手だった数学や語学をしっかり勉強し直しました。それが自分の武器となり、研究の職を得ることができました。実は、大学に入学した当初は公務員になろうと考えていたので、まさか自分が研究者になるとは思ってもみなかったのですが。

そんな私から、学生や若いビジネスパーソンの方々に言えることは、自分で「おそらくこの程度だろう」と可能性を決めてはいけないということです。

それまで馴染みのなかった分野でも、やってみると意外とできたりしますし、新しく自分の得意なことを見つけることにもつながります。

まずは前向きな気持ちでチャレンジしてみて、これまで知らなかった自分の可能性をうまく引き出せれば、まったく違った世界に進むことができます。案外、「その気になってやってみる」ということが大切なのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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