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ビジネススクールでの学びをきっかけとした社内起業
2023.11.29

人生のターニングポイントビジネススクールでの学びをきっかけとした社内起業

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【47】

私のターニングポイントは、新卒で就職した広告会社の博報堂を休職し、ビジネススクールで学んだことです。

博報堂では入社当初からマーケティング局で働きましたが、自分の中では、これからの時代に果たして、広告会社のマーケティングでプロとしてやっていけるだろうかという問題意識がありました。

そこで当時、企業派遣制度もなかったため、前例はあまり多くはありませんでしたが休職をし、ビジネススクールで学ぶことにしました。

そして博報堂に復職するにあたり、希望して、新しくできた研究開発局という部署に移りました。そこで、1990年代の後半にアメリカで登場した「ブランドとは資産である」という新しい概念に応える博報堂のブランド管理システムの開発に従事しました。

この方法論をクライアントに提案するのですが、「広告会社は結局、メディアを売る方便としてブランドを持ち出している」と言われ、中身は良いものを提案しているにもかかわらず、コンサル会社とのコンペで負けてしまうことがありました。

ならば、いっそ自分たちでコンサル会社をやったほうがよいのではないか。ということで、一種の社内起業のような形で、ブランドコンサルティング会社を設立する機会を得て、40代前半でその代表取締役に就任しました。

そこでコンサルタントと経営の両面の経験をしたことは自分の強みになりました。やはり、あの時にビジネススクールに行っていなければ、当時の上司も私をいきなり経営者にはしなかっただろうと思います。

十五年ほど社長を務めるなかで、さまざまな教育機関でブランディングとコンサルビジネスについて教える機会が増えていき、数年前に会社の経営を後輩に譲って、研究と教育の道に進みました。

現在はビジネススクールで教鞭をとっていますが、同じビジネススクールへの入学をきっかけに自分が学んだことを後進へ伝えたいという気持ちです。

Dropboxの創業者であるドリュー・ヒューストンは、MIT工科大の卒業スピーチで、「最も幸せで成功している人たちは、好きなことをしていると思っている人ではなく、自分のチャレンジに無我夢中になっている人だ。それはテニスボールを追いかける犬に似ている」と語っています。

自分にとってのテニスボールが何であるか、すぐには見つからないかもしれません。私もそうでした。しかし、現在取り組んでいることの中に何かのヒントやきっかけがあるはずです。仕事におけるテニスボールを見つける努力はぜひ続けてほしいと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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