
人生のターニングポイント研究の中でふと気づいた、自分のアイデンティティ
教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【29】
私のターニングポイントは、「フランス議会史」という研究分野を見つけた時です。
学問の世界は競争が激しく、その世界におけるオリジナルな立ち位置を見つけなければ、生き残っていくことが難しいのです。
修士課程では選挙の歴史について研究していましたが、なかなか自分独自の立ち位置が見えてこず、将来を考えると「このままではいけない」と感じていました。
しかし、あるとき、日本にはフランス議会史を専門とする研究者がほとんどいないばかりか、この分野はフランス本国でも研究が始まってまだ日が浅いことに気づきました。
「議会史」とは、議会で展開された政治的な事案だけではなく、議会という舞台そのものの成り立ちや、選挙・運営などの仕組み、あるいは議会と社会とのかかわりなど、議会全般に関心を向ける歴史学のひとつのジャンルです。
自分の進むべき針路はこれだと確信しました。ここであれば、自分も学界のなかでオリジナルな位置を占めることができ、研究者としてオンリーワンになれるはずです。
フランス議会史を始めてからは、自信を持って研究を進めることができるようになりました。
今は「自分がこの分野を切り拓いていく」という責任と喜びを感じています。
読者の方々も、組織の中で替えのきかない自分だけのポジションを見つけることができれば、それが独自のアイデンティティとなり、仕事への自信にもつながるのではないでしょうか。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。