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恩師と出会って知った、 数学を学ぶ意義
2023.05.11

人生のターニングポイント恩師と出会って知った、 数学を学ぶ意義

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【20】

ある先生との出会いが、私のターニングポイントになりました。

私は工学の修士と博士の学位を米国で取得したのですが、修士課程の指導教官がCraig・S・Sims教授でした。

先生は自由な精神の持ち主で、例えば午後に授業があると、午前中は学校へはいらっしゃらず、好きな釣りに行かれてしまうことがよくありました。

そして午後の講義が始まると、ひとしきり釣果の話をされてから、ジョークを交えつつ、全体が真っ白になるくらいに数式で黒板を埋め尽くしてしまうのです。

驚いたことに、先生が授業に持参されるものはチョーク1本だけで、教える内容を予め書きとめた授業ノートなどはありません。膨大な数の数式がすべて頭の中に入っているのです。

先生の専門は制御工学理論という分野なのですが、いつも「とにかく数学を重点的に学びなさい」という指導を受けました。

私は工学部だったにもかかわらず、先生の教えに従い、授業の半分くらいは理学部の数学科の授業をとっていたほどです。

必死になって学んだ数学のおかげで、普通はなかなか答えが出ないような工学の課題でも、数式に落とし込んで解くことができるようになり、同時に数学が好きになっていきました。

さらには「先生のように自由で立派な研究者になりたい」というモチベーションにもつながったのです。

数学には芸術的とも言うべき理論的な美しさがあります。社会人の皆さんももう一度数学を学んでみると、きっと仕事や人生がもっと豊かで有意義なものになるはずですよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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