
人生のターニングポイント恩師の一言で飛び込んだ、国際ジャーナリストの道
教授陣によるリレーコラム/⼈⽣のターニングポイント【14】
就職で悩んでいた時、恩師にいただいた一言が私のターニングポイントになりました。
大学4年生で、ある大手企業に内定したものの、在学中アメリカに短期滞在していたことで興味を抱いた国際ジャーナリストになる夢も捨てきれずにいました。
そんな時、共同通信社の存在を知り、試験を受けると何と合格したのです。しかし当時は大手企業の内定を断ると、所属ゼミの後輩がしばらくはその会社に就職できないという“噂”があり、本当に困りました。
思い余って、深夜にもかかわらず恩師の皆川洸先生に相談したところ「そんなことは一切気にせず、自分のやりたいことをやりなさい」とおっしゃっていただいたことで、国際ジャーナリストの道を選んだというわけです。
先生は国際法学者であり、法や条約の解釈においては厳格と言えるほど保守的でしたが、青年期に戦前・戦中を生き抜いただけあって、自由に生きることの尊さを重んじられていたのでしょう。
共同通信社でジャーナリストになってからも、人事異動で国内取材なども経験しましたが、いつも皆川先生の言葉を胸に抱いていたおかげで、国際的な取材をする仕事に戻れたのだと自分では思っています。
その後は、旧ソ連、中東、バルカン半島、米国などでの取材や本の執筆、テレビでの海外ニュース解説など、国際ジャーナリストとしての足跡を残すことができました。
読者の皆さんの中にも「やりたいことをやる」ために転職や独立を考えている方がいるかも知れません。
しかし今は先の見えない時代ですから、まずは「これから自分はどうやって生きて行くか」をじっくり思案し、念入りに準備することが必要なのではないでしょうか。
本や様々なビジネス講座などで、目指す分野をしっかりと学び、失敗のリスクを最小にする方法を身に付け、慎重で的確な判断ができる、と確信してからでも遅くはありませんよ。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。