
2023.02.03
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
私が一番影響を受けたのは大学時代の恩師、向殿政男さんです。安全学のエキスパートとして、世界的な功績も多数残しておられる立派な先生です。
研究者としてはもちろんですが、人となりも本当に素敵な方で。私も今、先生と同じように明治大学の教壇に立たせていただいてますが、実は先生の真似をしていることが3つあるのです。
1つ目は、学生のことを呼び捨てにしないこと。先生は今でも私のことを「菊池君」と呼んでくださいますが、当時から我々学生一人一人を対等に扱ってくださいました。
生徒を叱りつけるということもなく、研究室ではどんなテーマを持って来ても「おもしろいね」と、そこから伸ばそうとしてくださる姿がとても印象的でした。
2つ目は、移動はなるべくエレベーターを使わず階段を使うこと。当時のエレベーターは遅いし混むので、先生は2階の教室と7階の教授室への往復などでも階段を使っておられました。
何事もすぐに行動に移される向殿先生らしいエピソードであり、健康にも良いので、私も倣って階段を使うようにしているのですが・・・授業の始めに、はぁはぁと息切れしていることもしばしばです。
3つ目は、頼まれたことは断らないようにすること。先生はよくご自分のことを“ノーのない男”と冗談を仰っていましたが、ご自身を頼って来た相手には「NO」を出されないのです。
だから私もなるべく、たとえ専門外の案件であっても、依頼には応えるようにしています。苦労もありますし、引き受けてから後悔することもありますが、やはりその分得るものも多いので。
先生は、ああしないさい、こうしなさいとほとんど仰いませんでした。でも、この3つ以外にもふとした時に、これも向殿先生の影響だな、と思うことがしばしばあります。
それから、様々な場面で先生ならこんな風にはなさらないだろうな、失敗しちゃったな、と反省することもあるのです。
社会で働く皆さんも上司や先輩、同僚との出会いはぜひ大切にしてください。私にとって向殿先生がそうであるように、尊敬できる人の行動や姿勢、考え方はきっと人生の目標や指標になりますから。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。