
2022.07.07
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
偉大な科学者であるアインシュタインやボルツマン、日本の数理生物学の発展に大きく貢献された故・三村昌泰本学名誉教授にも影響を受けましたが、私に学問の世界を志すきっかけを与えてくれたのは、灘高等学校時代の恩師・浜口先生です。
「将来、自分は何がしたいのだろう」と漠然と考えていた高校2年の頃に、物理を担当していた浜口先生から「これを読んでみなさい」と渡されたのが『電磁気学』という本。
ベクトル解析とマクスウェル方程式について書かれた、大学1、2年で使うような教科書でしたが、高度な数学を使うことで、高校ではバラバラに説明される物理の法則が統一的に理解できるのは、とても衝撃的で感動しました。
先生には本の中でわからなかったところをはじめ、その後もたくさんのことを教えていただきました。
“受験”は限られた時間で何点取るかという勉強法ですが、物理学も数学も、もっと上の段階に進めば美しく壮大な世界が広がっているのです。
浜口先生からは受験物理でなく、そうした学問としての物理学を教えてもらったこと、この道に進みたいと気づかせてもらったことに大変感謝しています。
いまの世の中は大学受験で線路が終わってしまうような印象ですが、実は線路は続いていくし、学問はどんどん面白くなっていくのだ、ということを私自身も伝えられるよう心がけています。
社会人の方も同様に、就職することがゴールではないはずです。そこを入口として、様々な知識や経験を吸収し、成長の糧にしていただきたいと思います。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。