
2023.03.23
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
私が影響を受けた人物は、朝鮮の独立運動家であるチョ・マンシク(曺晩植)先生です。韓国では、道徳の本などでその功績が語り継がれています。
私は今、明治大学史の委員会で、アジアからの留学生について研究しているのですが、驚いたことに、チョ先生も本学の出身であるとわかったのです。
20世紀初頭、朝鮮は日本の支配下にあり、若者の学びの場は日本にしかありませんでした。そのため若かりし頃の先生も、日本に留学されたのです。
本学で学問に励む中、非暴力・不服従でインドを独立に導いたマハトマ・ガンジーを知り、その思想に傾倒したと言われています。
朝鮮に帰国後は、国産品の愛用を奨励したり、民族教育のための大学設立を志したりするなど、ガンジーにならって無抵抗主義民族運動を展開。「朝鮮のガンジー」と呼ばれ、人々の尊敬を集めました。
チョ先生の他にも本学からは、朝鮮の独立運動家などのために無料で活動を行った“三大人権弁護士”をはじめ、著名人を数多く輩出しています。
朝鮮半島出身の明治大学卒業生は、なぜこんなにも強いのか。彼らに共通する明治大学の建学の精神「権利自由」「独立自治」はどのように培われたのか。
同郷の者として非常に関心を持つとともに、私自身がこの大学にいてこそ、総合的に理由を研究できると考えているのです。
閉塞感漂う今の時代、チョ先生たちのように、自主・独立の精神を持つことが大切ではないでしょうか。一人ひとり「個」を磨き、より良い社会づくりを目指す意識が必要だと思います。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。