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知の探索と深化の“両利き”で強みをさらに磨こう

鈴木 仁里 鈴木 仁里 明治大学 商学部 専任講師

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【77】

本学商学部で教鞭をとられていた恩師の諸上茂登教授からは、人生観やキャリアにおいて多大な影響を受けました。

先生の言葉で学生時代からずっと心に残っているのは「恒学不退(こうがくふたい)」。つねに学び、決して退かないという意味が込められた先生が大事にされていた言葉ですが、この精神で研究も教育も邁進してきました。

とはいえ、いまだに思い悩むことがあります。研究に詰まったら別の学会に参加したり、ジムや習い事に行ったり。意外な場所で思わぬ発見があり、自分の研究に結びつくこともあるんですよね。

ネガティブな心境の中でも心折れずに研究を続ける、学び続けるために。自分を律し、モチベーションを上げるためにも、私にとって「恒学不退」はなくてはならない言葉です。

また、諸上先生は本質を見極めることに優れた才をお持ちで、国際マーケティング研究の発展に大きく貢献されました。

それは人に対しても同じ。一人ひとりの良さや能力を見極め、学生が進みたい方向に導いてくださいました。誰に対しても公平で全体を俯瞰して見る力があったからこそ、ジャンルを問わず周りの多くの方々と良好な関係を築いていらっしゃったと思います。

周りとのネットワークがあれば、認知の範囲を超えた様々な「知の探索」ができるでしょう。意外なところから仕事につながるなど、知と知を組み合わせる事で可能性が広がります。

そして、知を徹底的に深堀する「知の深化」のためには、自分の本質的な強みや、仕事のアピールポイントをしっかり理解していることが大切です。

諸上先生はどちらも兼ね備えた「両利き」の方で、研究においても、人間性においても、とても尊敬できる方です。微力ながら私もそういう人になりたいと思い続けています。

読者の皆さんも、同僚や後輩、部下の方々との関係の中で、相手の進みたい方向性を示すために様々な工夫をされていると思います。本質を見極め、相手の知の探索と深化をサポートすることにより、皆さんなりのオリジナルな「両利きのリーダーシップ」がそこにあるのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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