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#4 主体的キャリア形成で幸せになれるの?

荒木 淳子 荒木 淳子 明治大学 政治経済学部 准教授

仕事に前向きに取り組めるようになれば生活自体が楽しくなる

ここまで、様々な他者と関わりながら、その中で自分自身の仕事やキャリアを見つめ直し、仕事に新たな意味づけをしたり、自分がよりやりたい方向、やり易い方向に向けて新しい挑戦をしたりすることの繰り返しが、主体的なキャリア形成ということではないか、という話を述べてきました。

つまり、いつもの会社で、いつもの人たちと会って、いつもの仕事の話をしているだけでは、様々な他者と関わることはできません。そこで、企業側も、社員の副業やボランティア活動を認めるようになってきていると思います。

しかし、そうした企業はまだまだ少数です。でも、社内研修の一環として、異なる部署を経験する取り組みなどは多くの企業が取り入れています。それをなんのために行っているのかをあらためて考えれば、社外の活動を推進することにも積極的になるのではないでしょうか。

一方、個人にも、社会人大学院や資格のセミナーに通うなど自ら積極的に学ぶ人や、ボランティアの募集などを探して参加する人もいます。最近は、コロナ禍によってテレワークが浸透しましたが、セミナーや研究会などもオンラインが増え、参加がしやすくなっています。

一度でも参加しておくと、その後、主催者側から様々な情報がメールなどで届きますから、参加しやすいこの機会に参加しておくことは有効です。

それでも、個人のこうした活動を認める雰囲気や環境が会社側に整っていないと、個人で継続することは難しくなります。逆に言えば、個人が積極的に様々な活動を行えるような環境が整っている会社であれば、そんな会社を辞める気は起きにくくなるでしょう。

すると、そうした活動によって得たスキルや人脈によって、個人は会社に対して新たな貢献ができるようになっていくはずです。

そのような社員が多いことが人材の多様化であり、変化し、多様化する社会の中で企業が成長していくポイントだと思います。

また、主体的なキャリア形成のために有効な考え方に、ジョブ・クラフティングがあります。ジョブ・クラフティングとは、今の仕事を、自分のモチベーションや強み、情熱なども含めて捉え直すことです。異動や転職といった大きなキャリアチェンジでなくても、ジョブ・クラフティングのように自分の仕事を改めて捉え直し、より自分のやりたい方向へと軌道修正していくことは、仕事の楽しさややりがいを高めます。

このとき重要なのは、それは個人の努力だけに任されることではない、ということです。企業もまた、個人がそれをできる環境を整えることが大切です。

主体的なキャリア形成とは、自分自身が仕事に意義を見出しやりがいを感じるためのキャリア形成と言えます。そしてそれは、個人のやりがいだけにとどまらず、組織にも貢献するものです。

そのためには、いったい自分は何が得意で何を専門としたいのかを見つけることから始めるとよいと思います。様々な人との交流や対話の中に、ヒントはあります。その上で、自分が今取り組んでいる仕事について、改めて捉え直してみること、どうすればやりたい方向に近づけるかを考えてみることも大切です。

もちろんキャリアとは、生活や趣味など様々な領域での活動を含むものであり、仕事だけがキャリアを形成するものではありません。しかし仕事のやりがいは、人生の質を高め、豊かにしてくれるはずです。時には組織や様々な人の力を借りながら、自分の仕事について内省し、前向きに捉え直していくこと、それが、私たちにとっての主体的なキャリア形成ということだと思います。


#1 主体的なキャリア形成とは?
#2 主体的なキャリア形成は企業にとって有効?
#3 主体的なキャリア形成のためにはなにをすれば良いの?
#4 主体的キャリア形成で幸せになれるの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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