
2022.07.06
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
いまやクリエイティブな職種に留まらず、多くのビジネスパーソンにとって発想力や企画力は必須のスキル。ライバルを一歩リードするのに役立つヒントを、知の先達である明治大学・教授陣の言葉から探ります。
社会科学系の研究者は、「どうしたら政策が改善できるのか」と新たな手段を考えるよりも、「なぜこのような政策が展開されてきたのか」と、一度終わった事実を遡って追跡し、体系的に説明するアプローチを取ることのほうが少なくありません。
私が文章を書く際は、旧知との会話や新聞・雑誌の記事などが着想のきっかけになっています。しかし、その根底には「怒り」があるのではないかと、なんとなく感じています。
怒りを原動力にするのは研究者としていかがなものかと思いますが、政府や行政が“こうあるべき”状態になっていないと勝手に憤ってしまうと、私の場合、いまの立場でできることといったら、まずは文章で、ということを考えるのです。
これは、私が18年ほど公務員として実践の場に身をおいたことにも関係しているのかもしれません。
怒りからの着想であったとしても、もちろん、論文にはエビデンスが求められるので、執筆にあたっては思いの丈を連ねるのではなく、しっかりとした事実を踏まえながら、論理立てて説明することが重要となります。
ときには、誰しも業務上のトラブルや仕事相手に対して、怒りを覚えることがあると思います。
そのようなときは、極端な話になりますが、その怒りを、机をひっくり返すような衝動に向かわせるのではなく、問題の事象をどうしたら取り除くことができるのか。まずは、感情を論理へ、論理を実践へと変換させることを強く意識してみてはいかがでしょう。
このような発想が案外、仕事の原動力になったり、思考の壁のブレイクスルーを手助けしてくれるかもしれませんよ。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。