明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

他分野との交流を通じて問題解決のヒントを探ろう

明治大学 理工学部 教授 相澤 守

いまやクリエイティブな職種に留まらず、多くのビジネスパーソンにとって発想力や企画力は必須のスキル。ライバルを一歩リードするのに役立つヒントを、知の先達である明治大学・教授陣の言葉から探ります。

教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【20】

私は人工骨などの「バイオマテリアル(生体材料)」を専門にしていますが、専門の異なる方々とお話をしていると、他の分野では当たり前になっていることが、自分の分野には新鮮に映り、面白い発見に結びつくことがあります。

例えば、いま研究を進めている「ペースト状人工骨」は私たちのオリジナル素材である「イノシトールリン酸」を使って作っています。人工骨であるアパタイトの表面にイノシトールリン酸をつけると、それが接着剤の役割を果たし、別のアパタイトと結合して固まっていきます。

イノシトールリン酸の結合が「キレート結合」という化学結合の一種であることから、我々はこれを「キレート硬化型セメント」と呼んでいます。

この方法を思いつくきっかけになったのは、鶴見大学の歯科理工学を専門とする平林先生の論文でした。

論文の内容は、歯のエナメル質に金属を接着するとき、イノシトールリン酸をかませると接着効果が高まるというもので、これと同様に、アパタイト同士の接着剤にもイノシトールリン酸が使えるのではないかと考えたのです。

その結果、世界で初めて「生体内で吸収置換されるセメント」が生まれました。他分野の研究からインスパイアされて成果に結びついた事例といえるでしょう。

ビジネスの世界でも、営業担当でしたら、マーケティングや生産現場といった他部署の同僚に話を聞くなど、積極的に専門外のことに興味を持ってみることです。

自分で考え、自分で行動することも大事ですが、思いがけないところにヒントが落ちている可能性があります。

常にどうすればいまの課題をクリアできるのかを考えながら、広くアンテナを張っていくことで、問題解決の糸口に繋がることでしょう。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • Hatena

連載コラムの関連記事

#2 アニメはオタク文化?

2019.11.12

#2 アニメはオタク文化?

  • 明治大学 国際日本学部 特任教授
  • 氷川 竜介
#1 日本のアニメはいつから世界で人気になったの?

2019.11.8

#1 日本のアニメはいつから世界で人気になったの?

  • 明治大学 国際日本学部 特任教授
  • 氷川 竜介
徹底的な情報分析と柔軟な発想の時間を持とう

2019.10.31

徹底的な情報分析と柔軟な発想の時間を持とう

  • 明治大学 経営学部 教授
  • 佐々木 聡
日頃から感性を磨くものに触れる習慣をつけよう

2019.10.24

日頃から感性を磨くものに触れる習慣をつけよう

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 岡部 卓
比較の視点から、日常に潜むアイデアを見つけよう

2019.10.17

比較の視点から、日常に潜むアイデアを見つけよう

  • 明治大学 政治経済学部 専任講師
  • 倉地 真太郎

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

新聞広告連動企画

新着記事

2019.11.06

SDGsは、企業の社会における存在意義を問うもの

2019.10.30

再生医療の進歩にも繋がる、独自の人工骨開発技術がある

2019.10.23

渋沢栄一に学ぶ、多様な立場、多様な経験を活かす生き方

2019.10.16

増える、ひとり暮らしの高齢者が楽しい生活をおくるには

2019.10.09

増税による負担増ばかりではなく、受益増についてみんなで考えよう

人気記事ランキング

1

2019.11.06

SDGsは、企業の社会における存在意義を問うもの

2

2017.03.15

「沖縄振興予算」という呼称が、誤解を招いている

3

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

4

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

5

2017.12.06

ネット依存によって、現代人の脳の構造が変わりつつある!?

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム