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目の前の事柄に囚われない、相対的な視点を培おう

鍾 家新 鍾 家新 明治大学 政治経済学部 教授

いまやクリエイティブな職種に留まらず、多くのビジネスパーソンにとって発想力や企画力は必須のスキル。ライバルを一歩リードするのに役立つヒントを、知の先達である明治大学・教授陣の言葉から探ります。

教授陣によるリレーコラム/アイデアの泉【2】

私が普段から意識するようにしているのは、日常現象を社会的文脈で考える思考の習慣を持つことです。

たとえば、テレビで「日本の伝統」をテーマにした番組があったとします。その番組がどんな雰囲気で、どのように伝統を取り上げ、若者に対してどういった言葉を用いるのか。

日常的に接触できるテレビ番組で、「これを知らないと日本人として恥ずかしい」などのように思わせるいまの社会は何なのか。その社会的背景を分析するようにしています。

そしてそこから、過去の歴史と現在の空間が繋がり、自分の発想力が深められていくのです。いま目に見えているものだけで考えるよりも、時間軸や空間軸で考えると発想が変わり、目の前のものが相対化できるようになるのです。

自分が授業を行うときや本を書くときでもそうですが、いま書いているものが現在だけではなく、将来を考えたときにどんな風に見えるのかということを常に考えるようにしています。

人生も同様です。若い人は「彼がいないと、彼女がいないと生きていけない」と恋に盲目的になりがちですが、そういう人は、その時点しか見えていないのです。これが何十年もの時間軸で見ている親からすれば「バカを言って」となります。

会社で上司に怒られたときや、配置転換を伝えられたときも、「このオッサン何言ってんだ」ではなく、上司の長い経験に基づく時間軸で判断されたと考えれば、納得がいくはずです。

また、日頃からメモや記録を取ることも、発想力を育むのに役立ちます。過去の自分がこんなことを考えていたと、いまよりも長い現在時間軸の中で見返すことができ、いまの自分の糧となるのです。経験が自己の才能を伸ばしていきます。日々の生活でそうした経験を蓄えていくよう心掛けましょう。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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