明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

#3 バスを利用しやすくするためには?

明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授 木村 俊介

バスを利用しやすくするための、自治体による二つの施策

新しい地方公共交通に取り組んでいる自治体のひとつに、兵庫県豊岡市があります。

従来の発想では、バスが住宅地をきめ細かく回ることが良いサービスでした。しかし、人口が急激に減少している現在では、これは非効率になりがちです。

そこで豊岡市では、バス路線を、住宅地をきめ細かく小さく循環するフィーダー線と、都市部の病院や駅、ショッピングセンターなどの主要施設間を走る基幹線に分けました。

住民は近くの停留所からフィーダー線のバスに乗り、結節点といわれる基幹線に接続する停留所に移動し、そこで基幹線のバスに乗ります。

基幹線とフィーダ線の運行頻度は、それぞれがそれぞれの需要にあわせて変えることが可能で、バス路線全体の効率を高め、より経済的に運行できるようになるわけです。

この豊岡市と、ある意味、反対の発想から取り組んでいるのが、富山県富山市です。

住民が住んでいる地域にバスをどう走らせるかではなく、バス路線のある周辺に、住民に住んでもらおうという取り組みです。

市では、指定した地域に移り住む人に補助金を出して推進しています。人口密度の低下が続いている地域では、住む場所を「面」で考えるのではなく、必要な施設と繋がる「線」で考えてもらおうという発想は、他の多くの自治体からも共感を呼び、注目されています。

さらに、公共交通の路線を意識した住宅計画は、国交省も立地適正化計画という政策で推進しています。人口がさらに減少する今後は、私たち生活者にとっては、交通インフラを意識した住み方が重要になってくるかもしれません。

次回も、交通空白地域問題に取り組む自治体の例を紹介します。

#1 交通空白地域って、なに?
#2 コミュニティバスって、なに?
#3 バスを利用しやすくするためには?
#4 コミュニティバスの財源をどうする?
#5 公共交通を支えるために住民にできることは?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

連載コラムの関連記事

人の意思決定のプロセスを観察し、発想に活かそう

2020.6.4

人の意思決定のプロセスを観察し、発想に活かそう

  • 明治大学 商学部 准教授
  • 藤井 陽一朗
主流とは違うアプローチでオンリーワンを目指そう

2020.5.28

主流とは違うアプローチでオンリーワンを目指そう

  • 明治大学 農学部 教授
  • 大鐘 潤
#5 フードバンクと社会保障制度は連携するの?

2020.5.22

#5 フードバンクと社会保障制度は連携するの?

  • 明治大学 経営学部 教授
  • 小関 隆志
ネットの情報よりも体系化された知識を活用しよう

2020.5.21

ネットの情報よりも体系化された知識を活用しよう

  • 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授
  • 野川 忍
#4 フードバンクが正しいというのは間違い?

2020.5.19

#4 フードバンクが正しいというのは間違い?

  • 明治大学 経営学部 教授
  • 小関 隆志

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

特別授業

新着記事

2020.06.03

移民を引き寄せるアメリカの魅力が、日本にはあるか

2020.05.27

長生きリスクを、長生きハッピーにするために

2020.05.20

再生医療からアンチエイジングにも役立つ遺伝子の「付箋」とは!?

2020.05.13

より良い労働条件獲得のために、ストライキよりさらに有効なこと

2020.04.22

画像処理技術は、より安全と公平を社会にもたらす

人気記事ランキング

1

2018.01.26

#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か?

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

4

2020.06.03

移民を引き寄せるアメリカの魅力が、日本にはあるか

5

2019.02.20

「フェイクニュース」は「嘘ニュース」のことではない

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム