
2023.01.26
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
自宅が無事であれば、地震がおさまった後、帰宅して生活できます。ライフラインが止まっている可能性はありますが、調理を多めにつくり、一食ずつでも冷凍しておけば、それが災害備蓄になるのです。仮に避難所を利用するとしても、少しでも水や食料を持って避難すれば、行政が対応する時間がかせげます。毎日の食事を冷凍して確保し、消耗品などは少し余分に買って使うたびに買い増しすると、賞味期限切れになる心配がありません。こうして備えておけば避難所の食事の列に並ばずにすみ、どうしても自宅での生活が難しい人に、避難生活の場を譲ることができます。また、地域で顔見知りを増やしておくことも大事なことです。隣近所とあいさつを交わし『この人は、この地域の人だ』と認識しあうことが、防災・減災はもちろん、被災後の防犯にもつながります。
災害時には「共助」の社会が求められます。しかし、自分や家族が被害を受けたり、ケガをしたりすれば、ほかを助ける余裕はなくなります。このことは企業でも同様です。BCP(事業継続計画)の重要性が言われていますが、会社で重要なポジションにいる人こそ、被害を受けてはいけません。一人ひとりが「自助」で備えることで、災害時に周りを助ける「共助」の手になれるのです。『自助なくして共助なし』そのことをいま一度、確認していただきたいと強く願います。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。