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2022.01.19

農業は最後のフロンティア、拓くのは植物工場!?

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危機的な状況にある日本の農業を変えるために

 実は、テクノロジーの分野では、農業は最後のフロンティアと言われています。農業の基本的な作業はエジプト文明の時代から変わっていないからです。

 農業には、新しいテクノロジーが入る余地が充分にあるのです。その意味で、第三の農業である植物工場には発展する可能性が大きくあると言えます。

 さらに、従来の農業で重要だった経験や勘とは異なり、新たなテクノロジーを開発していく植物工場に、若い世代が興味を抱いてくれることにも期待をしています。

 いまの日本は、少子化によって様々な産業分野で労働力不足が問題になっていますが、農業の若者離れはそれ以上に深刻です。

 例えば、大学でIT技術を学んだ学生がその分野に魅力を覚えて進むように、植物工場の技術を学んだ学生が農業の魅力を知り、学んだ技術を活かせるようになっていくことができれば、日本の農業も大きく変わっていくと考えています。

 先にも述べたように、植物工場が畑の農業に取って代わることはありません。植物工場をきっかけに若い世代が農業に魅力を感じたり、企業が農業を有望なビジネス分野と捉えて進出してくれることが重要だと考えています。

 それが農業人口の増加に繋がったり、あるいは、植物工場で開発された技術が畑でも活かせるようにもなっていくと思います。

 こうした新たな動きが起きなければ、日本の農業は最後のフロンティアと言われ続けたまま、廃れてしまうかもしれません。第三の農業とともに第一の農業が共存共栄することが、日本の農業を持続させていくことに繋がっていくと考えています。

 植物工場の開発初期の頃は、この新たなテクノロジーが理解されず、一般の人たちに不信感をもたれたこともあります。私たちは本学の「植物工場基盤技術研究センター」を通じて、小学生向けのイベントなどを行い、この第三の農業の理解促進にも努めてきました。

 太陽の光を使わない農業に不信感をもっている人はまだいると思いますが、そうした先入観を払拭していくことも私たちの役割だと考えています。

 こうした活動が、皆さんに、食や、日本の農業の状況について考えてもらえるきっかけになれば、うれしいと思っています。


英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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