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消費税が抱える問題 ―求められる公正な仕組みの実現―

沼田 博幸 沼田 博幸 明治大学 名誉教授(元専門職大学院 会計専門職研究科教授)

電子取引、軽減税率 非課税の問題

 クロスボーダーの電子取引に対する課税のあり方を考えていく上でも、インボイス方式の導入は必要である。たとえば、クロスボーダーの電子取引の例として、外国の事業者から日本の消費者へのインターネットを通じた電子書籍の供給があげられる。外国の事業者がわが国に何らの施設を有していない場合、電子取引の把握、つまり課税は困難だ。他方、消費者に納税を求めることは現状では極めて難しい。今後、国際協力のもとクロスボーダーの電子取引に対する課税の仕組みを形成していかねばならない。その際、各国とも付加価値税の仕組みが同一であることが好ましいのは言うまでもないだろう。その意味からも、EU型のインボイス方式導入が求められるのである。
消費税増税に伴い、逆進性(低所得者ほど税負担の割合が高くなること)を緩和するため、食料品などの生活必需品への「軽減税率」適用について議論が進められているが、その導入は懸念すべき点が少なくない。税率や適用範囲の決定が複雑で恣意的になり、また税会計も煩雑になる。何よりも、軽減税率の導入により巨額の税収が失われ、別途増税が必要になることも考えられる。消費税の経済に対する中立性を保つためにも、単一税率であるべきだ。逆進性への対応は、別途施策が可能であろう。
付加価値税(消費税)はすべての物品・サービスに課税されることが原則であるが、そもそも消費課税になじまないもの(土地の譲渡・賃貸や金融取引)や政策的配慮を要するもの(医療や教育など)は「非課税」とされている。しかし私は、非課税というものはあってはならないものと考えている。非課税の売上を行った場合には、そのために仕入れた物品やサービスに含まれる消費税の税額控除は認められず、したがって非課税の物品やサービスを仕入れた者が課税事業者の場合には、重複課税が発生する。非課税売上を主とする事業者が、仕入税額控除を受けられないということは、必然的に経済取引に不公平、不都合を生み出すことになる。付加価値税が内蔵する優れた仕組みを破壊しかねないのが、「非課税」の構造なのだ。

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