明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

所有者不明土地の解決策はサブスクリプションにある!?

片野 洋平 片野 洋平 明治大学 農学部 准教授

売ろうにも売れない、自治体も引き取らない、田舎の土地

 さらに問題なのは、所有者不在土地は、日常的に、誰にも管理されず、放棄されたままであるということです。それは、全国で確実に増えています。

 すなわち、災害時にスピーディな復旧の妨げになるだけでなく、日常的には、家屋がお化け屋敷のようになり、野生動物が棲みついて獣害を発生させたり、瓦などが飛んで付近の住民にけがを負わせることもあります。

 田んぼは雑草だらけになり、自然のダムの機能を果たせなくなったり、手入れがされない山林は、豪雨時などには地滑りや山崩れの原因にもなるという指摘もあります。

 一方で、都会に居住する所有者も、管理のために手間やお金をかけたり、固定資産税を払うなどの負担を負うことになります。

 例えば、登記しなければ固定資産税はかからないと思っている人がいますが、登記をしなくても、相続権者には納税の義務が生じます。

 4代前に登記されたままの土地の税金を、そこで農業を継いだ、例えば長男だけが納めていたのは、代表相続人という立場になっていたからです。

 つまり、都会で暮らす相続権者にとっては、自ら活用することのない土地で負担を強いられることになるわけです。

 そこで、そうした人たちは土地の売却も考えます。ところが、現実には買い手がつかず、売れないのです。

 そもそも、子どもたちが都会に出て行ったのは、実家の土地が狭く、農業の収入が少ないことが理由であることが多いのです。そのような土地を購入しようとする人は、まずいません。

 また、近隣で農業を続けている家も後継者不足、人手不足になっており、耕作地を広げる余裕はありません。

 また、自治体なども、インフラの整備や歴史的価値のある場合などを除けば、土地や家屋を買い取ることはありません。

 つまり、所有者不明土地問題とは、所有者不在の土地を抱える地域だけでなく、都会で居住する所有者にとっても重い負担になっていて、しかも、手放すこともできず、その解決策が見えない問題になっているのです。

社会・ライフの関連記事

原発問題とは、エネルギー問題だけを意味しない

2022.5.18

原発問題とは、エネルギー問題だけを意味しない

  • 明治大学 法学部 教授
  • 勝田 忠広
木賃アパートには、未来社会を構築するヒントがある

2022.5.11

木賃アパートには、未来社会を構築するヒントがある

  • 明治大学 理工学部 専任講師
  • 連 勇太朗
サステイナブルな社会になるために必要な「評価」とは?

2022.4.22

サステイナブルな社会になるために必要な「評価」とは?

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 源 由理子
熊本県産アサリ、産地偽装問題の一番の被害者は熊本県!?

2022.3.23

熊本県産アサリ、産地偽装問題の一番の被害者は熊本県!?

  • 明治大学 名誉教授(元専門職大学院 法務研究科教授)
  • 高倉 成男
国が「してくれないこと」はあきらめるしかないのか?

2022.3.4

国が「してくれないこと」はあきらめるしかないのか?

  • 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授
  • 清水 晶紀

新着記事

2022.06.28

コミュニケーションを第一に、家族を大切にしよう

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

2022.06.21

地道でも “源”から、理解するようにしよう

2022.06.17

アインシュタインはいかにしてアインシュタインになったのか

2022.06.16

知の探索と深化の“両利き”で強みをさらに磨こう

人気記事ランキング

1

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

2

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

3

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

4

2021.12.15

使い捨て文化にはない豊かさがある、日本の漆器の文化

5

2022.02.10

西欧でも関心が高まる、私たちが知らなかったイスラム教の魅力

連載記事