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流行語大賞選びでわかる、日本語のしたたかな柔軟さ

小野 正弘 小野 正弘 明治大学 文学部 教授

国語辞典に採録する「今年の新語」

 一方、三省堂が主催する「今年の新語2018」の大賞は、「映(ば)える」でした。2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」が「インスタ映え」でしたが、その言葉の「映え」が独立し、「る」をつけて動詞として使われるようになった言葉です。

 実は、名詞などに「る」をつけて動詞化することは、昔からあります。例えば、「料理」を「料る」という動詞にした言葉が江戸時代にありました。1980年代には、「江川る」という言葉が流行ったのを覚えている人も多いと思います。

 しかし、「映える」は、「インスタ映えする」と言うより意味が広がり、景色や小物、スイーツなど、見映えが良いものを撮影、投稿して、みんなで共有したいという気持ちを表し、SNS社会ならではの感覚を象徴する新語として評価されました。

 実は、この三省堂の「今年の新語」には、私も選考委員として参加しています。そして、選ばれた新語は三省堂の「現代新国語辞典」に採録することにしています。

すると、すぐに消え去るような言葉を辞書に載せて良いのか、という批判を結構されます。確かに、改訂に10年以上の時間をかけ、その間に採録すべき言葉をじっくり吟味する辞典もあります。

 しかし、「現代新国語辞典」は、4年ごとに改訂することが前提になっています。まさに、いまの現代文を読み解くための国語辞典というコンセプトなのです。だから、いま、私たちが対面している言葉をすくい取っていくのです。

 ところが、4年前には確かに使われていたが、いまは使われなくなった言葉が出てきます。それは改訂の際に外すことになります。

 例えば、2018年に第六版を出しましたが、第五版には載っていた「CDコンポ」とか「コギャル」など、1000ぐらいの言葉を外しました。だから、いままで出版した「現代新国語辞典」を並べて見ると、言葉の変遷がわかります。

 言葉は生きものといいますが、生きていれば死ぬこともあるわけです。死んだ言葉をただ忘れ去るのではなく、化石のように残しておくのも辞典のひとつの役割ではないかと思っています。

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