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プライバシー権と、犯罪抑止や検挙とのバランスを考える

 監視社会を私も望みません。しかし、犯罪者の手口は巧妙化しており、それを防ぐ方策も必要です。いわゆる振込め詐欺や、テロなどは報道もされるので、一般によく知られていますが、私たち一般市民がいつの間にか事件に巻き込まれるというケースは、他にも多々あります。私は財務省の税関研修所の教官も務めているので、密輸に関する事案をよく目にします。例えば、学生などの若い人が海外旅行に行った際、現地でとても親切な日本人に会います。観光地を案内してくれたり、ご馳走してくれます。そんな親切な人から、日本にいる友人にプレゼントを渡したいので持って行ってくれと頼まれます。二つ返事で引き受けて持って帰ると、その中身は薬物で、その学生は羽田・成田で拘束されることになります。海外で自分のスーツケースが突然壊れ、親切な人がスーツケースを貸してくれることもあります。日本に友人がいるので、スーツケースはその友人に渡してくれれば良いと言われ、ありがたく、そのスーツケースで帰国すると、それは二重底になっていて、そこには薬物が入っています。税関で薬物所持が発覚すると、ほとんどの場合、起訴になります。事情を本当に知らなかった場合は無罪になりますが、裁判にかけられ、知らなかったことを証明しなくてはなりません。犯罪の被害に遭うだけでなく、自分には落ち度がないと思っていても、知らぬ間に刑事事件に巻き込まれることになるケースも、最近は増えているのです。

 イギリスは、人口の何倍もの数の監視カメラが設置されている超監視社会になっています。実は、監視カメラが本当に犯罪の抑止になり得るのか、いまでも議論が分れていますが、何らかの方法で、様々な犯罪やテロから市民を守り、安定した社会を保つことは必要なのです。今後も、ドローンや、さらに新しい機器や技術を使った捜査手法が考えられていくはずです。そのとき、プライバシー権の視点からだけで議論するのではなく、犯罪抑止や検挙とのバランスを考え、議論することが重要でしょう。特に、人口減が続く日本では、警察官の数も減っていきます。そのとき、新しい機器や技術を捜査に取り入れることは、絶対に必要になってくると思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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