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2023.11.02

中小企業のDX推進こそが日本経済再興のカギ

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DX推進による中小企業の存続と発展が、日本経済を強くする

 中小企業のDX推進はまだまだ進んでいませんが、大きな傾向で言えば、経営者の意識も少しずつ“攻め”の意識に変わりつつあります。政策でも支援は進めていて、経済産業省が2001年につくった推進資格の取得者、ITコーディネータなどの専門家を無料で派遣する施策も何年にもわたって展開されてきました。現在では、商工会議所、商工会、中小企業団体中央会などの支援団体は、伴走型支援に力を入れており、DX推進の環境は良くなってきています。

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日本のIT投資も、2013年に比べて2017年のほうが“攻め”の姿勢に転じつつある

 また、経済産業省が、中堅・中小企業等のDX優良事例を選定する「DXセレクション」や、ITコーディネータ協会が、DX 推進において日本の中小企業の模範となるような経営者と IT コーディネータを表彰する「ITCA表彰」などを行い、啓蒙活動が全国規模で展開されています。

 2020年には、DX推進の取り組みが整っている事業者を国が認定する、「DX認定制度」もスタートしました。「DX認定」を受けた事業者は、金融支援、税制による支援、人材育成のための支援といった各種措置を受けられるメリットもあります。さらに、認定をめざす企業が増えれば日本のDXも加速するため、国も促進に努めています。コロナ禍の影響を受け、在宅勤務やWeb会議をやらざるを得なくなったところも多く、経営者の意識が変わってきたとも言われています。この流れを止めることなく、さらに加速させて、会社が強くなっていくための変革へとつなげていきたいところです。

 DXの推進には、経営者の意識を変え、組織を変えていくことが重要です。ツールとしてのITを導入して効率化できたら、一人ひとりがもっとクリエイティブなことに取り組む時間が増え、ビジネスも伸びていくでしょう。そのことが会社の発展につながり、社員やその家族みんなの暮らしが良くなっていく。こういったビジョンを共有し、社員一丸となって取り組むことが企業の革新につながっていくと考えます。

 日本の企業数は減少の一途をたどっていて、中小企業の数も、2009年には421万社あったのが、2014年では382万社、近年では358万社にまで減ってきています。先ほど日本企業の99.7%を占めているのが中小企業だと述べましたが、その比率は地方圏でさらに高くなっています。一国の経済は、地方経済の集まりです。地方圏の中小企業に頑張ってもらわなければ、日本経済そのものが駄目になります。

 世の中は変化し続けているので、何もしなければ変化する社会から取り残されてしまいます。存続するには、変わらなくてはいけません。そのために最も効果的なツールがITであり、ITを企業の成長発展へとつなげる今日的な取り組みの在り方がDXです。DX推進による中小企業の底上げは、間違いなく日本経済を再興させる鍵になります。日本のためにも、まずは個が強くなってくださいと、中小企業の経営者にはお願いしたいです。


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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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