ワクワクする未来社会の実現に向けて
では、完全自動運転の車の完成は遠い未来の夢物語なのかというと、決してそんなことはありません。
例えば、同じ輸送分野である、ドローンなどによる自動貨物輸送は、すでに様々な実証実験が行われています。目的地に向かって、操縦者の視界の先まで安全に自動飛行し、貨物を降ろして戻って来ることは、すでに可能なのです。
また、空の交通をどうするかという、法整備などのルールづくりも進んでいます。今後、ドローンだけでなく、空飛ぶクルマなど多様な飛行体の実用化が進むと、空域が過密化し、衝突などの危険性が高まってしまいます。そのルールづくりができれば、ドローンの活用は一気に広がると思います。
更に、地上の交通では、自動運転の車が走ることを前提とした実験的な街づくりのプロジェクトも進行しています。地上交通に関わるインフラから新たに構築していくことは、自動運転交通にとって、むしろ、早道になるのかもしれません。
内閣府が提言した未来社会のコンセプトであるSociety5.0では、様々なモノ、ヒト間のデータをやりとりすることにより、より快適な社会の実現を目指しています。完全自動運転の車も、この計画の一環です。
例えば、スマホひとつで無人のバス、タクシーが家まで迎えに来て、目的地まで連れて行ってくれるMaas(Mobility as a Service)システムの開発などは、日本のみならず、世界中の研究機関や企業が取り組んでいます。そうした次世代交通技術の要となるのがセンシング技術なのです。
そうしたセンシング技術の開発にたずさわる私たち自身、ワクワクしながら研究を進めています。皆さんも、Society5.0の社会の実現に期待していただき、応援していただければと思います。
国民の皆さんのそうした思いが研究開発の背中を押し、ルールづくりも含めて、ワクワクする未来社会の実現を早める原動力になると思っています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。