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ロボットがやわらかくなると社会が変わる!?

新山 龍馬 新山 龍馬 明治大学 理工学部 専任講師

やわらかいロボットによって社会のあり方も変わる

 すでに、産業用ロボットは欠かせないものになっていますが、街中や家庭でロボットを目にすることはほとんどありません。

 それは、ロボットが高価であることと、先に述べたように、意外と危険であり、できないことも多いからです。そうした壁を、やわらかいロボットは越える可能性をもっています。

 ロボットが普及すると、人から仕事を奪うとか、逆に、ロボットに仕事を任せて人は楽をできる、というイメージをもっている人も多いと思います。しかし、ロボット研究にたずさわる者としては、そうしたイメージはどちらも未来のロボットのあり方とは違うのではないかと思っています。

 それは、ひとつには、いま人が担っている仕事をロボットが代替する面もありますが、先に述べたように、人とロボットが一緒に作業することを前提としたロボット開発も進んでいるからです。

 それは、ケアや介護の分野でも考えられています。例えば、患者さんの身体を抱き上げたり移動させるような力仕事はやわらかいロボットが行い、人はその動きを監督しながら、話しかけや、患者さんがなにを望んでいるか察してあげるなど、人ならではの仕事に集中することができます。

 つまり、現在の人の仕事や行動のあり方、価値観で、やわらかいロボットが割り込んでくる世界を想像するのではなく、まったく新しい考え方や価値観が生まれると考えてほしいのです。

 例えば、poimoは、空気を抜けばソファの形からぺちゃんこになって、持ち運びが簡単にできるように変形します。さらに、ベッドに変形したり、バスタブに変形したりできたら、と考えると、乗り物という概念が揺らいできます。

 もしぶつかっても安全なやわらかいロボットが実現できれば、街単位のような規模で、人とロボットの関わりが広がっていくことが期待されます。電車の中や歩道で、poimoのようなロボットとすれ違うことが当たり前になるかもしれません。

 今後登場する新しいロボット技術によって、ロボットに対する不安や期待は、よい意味で裏切られると思います。そして、ロボットを使うのはあくまで人間です。ロボットを媒介して、人同士はどんな繋がりや関係性を育んでいくのだろうかと、想像してもらえればと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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