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AIと共生できない人は生き残れない!?

小笠原 泰 小笠原 泰 明治大学 国際日本学部 教授

日本がシーラカンスにならないために

 AIとの共生は様々な分野で起こると思います。そうした状況に対応する人材を育てるためには、いまの日本の教育のように、文系、理系の区別をつけて学ぶことや、みんなが横並びで「正解」ありきで同じように考えさせるシステムではダメで、文系であろうが理系であろうが最低限のテクノロジーやプログラミングの知識をもつことは必要であるし、活動主義に陥らない、学生に適正な負荷をかける、本当の意味でのアクティブラーニングを行い、自ら考え、判断する訓練が必要でしょう。幸いなことに、いまの子どもたちは、物心がついた頃からコンピュータ機器をいじっています。こうした世代が新たなAI環境に対応する人材となるように、現世代は教育システムの抜本的な改革を考える必要があります。また、この新世代に負けないように、現役の学生を始め、私たち大人もデジタルテクノロジーの急速な進歩と環境変化を認識し、自ら学び、考えることによって将来の選択肢を広げる努力をするべきです。

 日本の情報機器などを「ガラパゴス」と揶揄することがありますが、超高齢化を急速に迎え、厳格な法と綿密な規制のある日本社会は、AI対応においては、私はシーラカンスになるのではと危惧しています。実は、シーラカンスは浅い汽水域に生きていた魚で、太古に一度は上陸しています。陸上生活を行った痕跡が体の各所にあります。ところが、陸上での生存競争に負けたのか、海中生活の幻想に惹かれたのか、また海に戻り、今度は深海に逼塞し、進化することを止めてしまいました。AIの環境に対応しようとしながら、結果、「人間らしさ」、「日本らしさ」の幻想を追い続けて日本列島に逼塞し、世界の進歩に取り残されることがないように、私たちはしっかり「いま」という現実を直視する必要があると思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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