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社会凝集力は偏見も生む。自分をもっと自由に解放してみよう!!

鍾 家新 鍾 家新 明治大学 政治経済学部 教授

相手に対して尊敬の念をもって学ぶことで、自分の世界を広げることができる

鍾 家新 社会凝集力とは、国家が個人に働きかける力というだけではありません。個人が自らその力と繋がろうとすることも含まれます。

 例えば、北京語を共通語としたのは国の戦略ですが、当初、地方の、特に老人たちは北京語に馴染もうとはしませんでした。しかし、北京語ができた方が良い仕事に就ける社会になってくると、若い人たちは自主的に北京語を学ぶようになっていきます。生きるために北京語が必要だからです。

 また、個性が表出されにくい近代社会では、ふと、自分とはなんなのか、自分はどういう存在なのか見えなくなり、無力感や無意味感にとらわれることがあります。そのとき、身近ななにかに繋がることによって、安らぎや癒やしが得られることがあります。

 その繋がりとは、社会の多くの人が繋がっている伝統文化であったり、祖国感情であることもあります。そうした社会凝集力と繋がると、優越感を感じることもできるのです。

 しかし、そうやって安易に社会と繋がることが、本当の自分の存在を取り戻すことになるわけではないと思います。ときには、そこから距離を置いて見ることの方が必要です。

 距離を置いて見るとは、自分たちの社会だけでなく、様々な社会を知って、自分たちの社会を相対化することです。

 そのためには、相手に対して尊敬の念をもつことが必要です。すると相手に対して、偏見のない関心が生まれます。相手を見下していては、相手から本当に学ぶことはできません。

 最近は、翻訳機や翻訳アプリの性能が向上していて、観光旅行などではとても役立つと思います。でも、その国の社会や文化についてちゃんと知ろうと思ったら、その国の言葉をしっかり学ぶことが必要です。

 私が日本語を真剣に学び、漢字とひらがなを組み合わせることで、きれいでやわらかい、水のように流れる雰囲気の文章ができることを知ったときの感動は大きかったです。

 それは、自分自身の可能性を広げることでもありました。それは、生きるために北京語を学び、中国社会と繋がり、日本文化に偏見をもち続けていた自分であれば、決して得られなかったことだからです。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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