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高校で必修となる「地理」は、もう暗記教科ではない楽しさがある

明治大学 経営学部 教授 中澤 高志

高校生の「地理」必修化をきっかけに、社会人にも「地理」を学び直してほしい

中澤 高志 あらためて、「地理」とはなにかと問うと、その答えはとても難しいのです。もちろん、「なぜ、それがそこに、そのような形で存在しているのか、を記述して説明する学問」というような定義はありますが、では、「地理」を学んで、なんの役に立つのかといえば、正直なところ、簡単に答えられません。

 そのせいか、地理を学び、地理の教員になる学生が少ないという状況になってしまっています。私自身、高校の地理必修化にあたり、教科書の執筆を担当することになり、それをきっかけに「地理」を学ぶ意義をあらためて強く考えました。

 実は、私の専門は「経済地理学」ですが、本学で新たに受け持つ講義を「住まいと仕事の地理学」としました。

 なぜ、「住まいと仕事」なのかといえば、例えば、「住宅と労働力」というと、それは商品であり、それを純粋に経済学の対象として分析することは可能です。しかし、経済の根本的な意味は、究極的には、人は自然に依存しながら、しかし、人と人との間で、「人間」として生活していくということ自体にあると考えるからです。

 生きるという意味での経済の重要な部分を占めるのが、まさに、住まいと仕事であり、それは、地域によって様々な形をもちます。東京には東京の住まいと仕事があり、地方には地方の住まいと仕事があります。

 その、住まいと仕事と、場所の関係を問うことが、私にとって重要なテーマであり、「地理」とはなにか、に対する答えに繋がっていくのではないかと考えるのです。

 つまり、「地理学」とは、“見方”であり“視点”です。法律を対象とするのが「法学」であり、生物を対象とするのが「生物学」といったように、研究する対象で成立する学問ではないということです。むしろ、あらゆるものが地理的な存在であるので、なんでも対象になるといえます。

 だからこそ「地理学」は、視点で成立している学問であり、「地理」を学ぶということは、その視点を養うことです。そこに「地理」の魅力があり、「地理」を一言で言い表す難しさもあると思います。

 一方で、最近、街歩きのようなテレビ番組が人気です。自分が住む街と、街並みも、人の営みも、人の気質も、文化も、料理も異なる街に対する興味や好奇心が、見る楽しさに繋がっているのでしょう。

 それも、まさに「地理」の楽しさです。この楽しさを的確に解説する、地理の素養の高いタレントさんもいます。その意味では、高校生には大上段のテーマを気にせず、まずは、「地理総合」を楽しみながら学んで欲しいと思います。

 残念なことに、「地理」が長らく必修科目から外されていた結果、外国の位置を的確に答えられない高校生が非常に多いという調査結果があります。最近は、社会人でも楽しみながら学べる「地理」の本などが増えているので、社会人の皆さんも、高校生の「地理」必修化をきっかけに、「地理」を学び直してはいかがでしょうか。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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