
2021.01.20
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
出版市場の縮小の要因として、若い世代などの活字離れが指摘されますが、学生たちのなかには、本が好きな人もいます。また、これは日本に特有の問題というものではないでしょう。
1990年代以降、インターネットが急速に普及し、情報の取得手段は、書籍や新聞、雑誌に限らず、広がってきました。逆に言えば、いまは、紙の書籍にこだわる必要はないと言えます。
百科事典のようなものは、デジタル財の方が適しています。デジタルであれば、本棚を占拠することもありませんし、検索も容易です。
逆に、小説などは紙の書籍の方が読みやすいという人はいます。実際に、電子書籍のマーケットのほとんどはコミックが占めています。
つまり、ユーザーが紙と電子を使い分けているのですから、出版社も使い分ければ良いのです。
また、図書館の本の貸し出しによって書籍が売れなくなったという議論がありますが、私の分析では、その影響は非常に小さいという結果が出ています。
そもそも、図書館の役割は単に本を貸し出すことでなく、文化の普及に関わることです。図書館は、私たちが本に親しむという習慣を下支えしているのです。
日本の出版社は、出版不況に対して外的要因を挙げる前に、自分たちで工夫の余地があるように思います。
そのヒントは、外国の出版産業に見ることができるのではないでしょうか。