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グローバルとローカルの出会いを幸せにするグローカリゼーション

鷲見 淳 鷲見 淳 明治大学 経営学部 専任講師

ローカルを軽視したグローバル・スタンダードは成功しない

 第2次世界大戦後、アメリカ人は、アメリカ的なものが世界基準であるという考え方を強めました。

 すなわち、アメリカの製品やシステムなどがグローバル・スタンダードであり、各国、各地域もそれに従えば、みんな上手くいく。それがグローバル化であるという考えです。

 確かに、様々なアメリカ企業が多国籍化し、世界市場を席巻した企業もあります。しかし、ローカルを軽視して成功することはほとんどありませんし、あっても、その成功が長続きすることは不可能だと思います。

 例えば、戦後、急速に経済成長した日本は、欧米の企業にとっては魅力的な市場に見えました。そこで、多くの企業が実際に日本に進出しました。

 ところが、日本は同じ民主主義の国であり、同じ資本主義の国であると思ってやって来た彼らは、法規制やその運用の仕方、流通網における卸売業者など、彼らにとっては独特の制度や仕組みがあることを知ります。

 それらの制度は日本の伝統文化が大きく影響しており、当然、欧米の論理では対応できるものではなかったため、非常に苦労することになるのです。

 いま、日本で成功している外資系企業は、自分たちのやり方や強みに、日本のローカル性を突き詰めてバランス良く融合させることで、日本市場のニーズに適した製品やサービスを提供しているところばかりです。

 それと同じことが、世界に進出する日本企業にも当てはまります。

 例えば、アメリカで大成功している日本の醤油メーカーがあります。

 このメーカーは、醤油は和食に使うという日本のやり方に固執するのではなく、バーベキューを美味しくするなど、アメリカの料理に合うレシピを開発し、インターネットなどを使って情報発信し続けたのです。

 つまり、醤油の旨さを現地の食文化に活かす接点を見出し、それをレシピやメニューとして提供し続けるという地道な活動によってビジネスを成功させたのです。

 しかも、この成功は、醤油を使った新たな食文化の創造にも繋がっていくかもしれません。

 また、東南アジアに進出した日本のオートバイのメーカーは、安い価格で市場を席巻する中国のメーカーと競合することになります。

 「安かろう悪かろう」という概念がある日本人にとっては、品質が良いという価値に対してお金を払うことは「常識」ですが、東南アジアの人たちにはそんな「常識」は通用しません。ただ、安いことは良いことなのです。

 そこで、日本のメーカーは、品質が良いということはどういうことなのか、サービスが良いということはどういうことなのか、それを様々な媒体やインターネットなどを通して情報発信することから始めました。

 すると、それは徐々に、学生や教養のある人たちから広まり、いまでは、品質を落とさずに販売を広げていくことに成功しています。

 もし、このメーカーが、品質を落として安い価格の製品を売り出す戦略をとっていたらどうだったでしょう。

 つまり、現地のユーザーのニーズに合わせて現地化していったら、一時的には売れたでしょうが、価格競争に巻き込まれ、敗退したかもしれません。

 なぜなら、相手の土俵に乗ってそのまま競争したら、そこで長年慣れている企業の方が強いのです。実際、東南アジアでは、価格競争に陥り、苦戦する日本企業はたくさんあります。

 自分たちの強みを見失わず、現地の市場との接点を見出し、バランス良く融合させていくことが重要なのです。

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