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「20年後の未来と、今自分がすべきこと」をプレゼンする
2025.06.18

学びを加速させるアドバイス「20年後の未来と、今自分がすべきこと」をプレゼンする

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【2】

近年、日本は「失われた30年」と言われるほど長期的な経済停滞が続いています。さらに、コロナ禍やジョブ型雇用の浸透により、特に若者の間で将来に対する不安が高まっています。

私自身も、日本社会の衰退を身近に感じています。学生を指導する中でも、安定志向の強まりや転職を前提とした就職活動が増えており、学ぶ意欲の低下が懸念されます。このような現状を踏まえ、若者が未来に希望を持ち、自ら未来を創っていける社会の実現に向けて、教育者として何ができるのかを模索しています。

実際、日本の国際競争力の低下はさまざまな国際的なデータから明らかになっていますが、同時に研究力も低下しています。文部科学省が公表する「科学技術指標2024」では、注目度の高い論文において日本は過去最低タイの13位と報告されています。

博士号取得者の企業就職率が低く、博士課程進学者の減少が続いている点も深刻です。経済的負担が大きいにもかかわらず、博士号を取得しても就職の選択肢が限られる現状は、研究・教育環境の課題として捉えるべきでしょう。

こうした状況の中で、私たちはどのように学びを加速させ、深めるべきでしょうか。私は「実際に触れて、体験すること」を重視しています。

私の研究室では、学生に展示会へ行くことを勧めています。展示会では、実際の製品や最新技術を直接体験でき、教科書や理論だけでは得られない気づきを得ることができます。また、現場に足を運ぶことも重要です。例えば、歩行支援ロボットの研究なら、街中の階段や段差を自ら歩いてみることで、新たな発見があるかもしれません。

また、私たちの研究室では「20年後の未来と未来に対して今自分が何をしなければいけないのか」というタイトルで、学生たちにプレゼンをしてもらっています。大学の枠を超えて学ぶことで、社会との接点を増やし、広い視野を持ってもらうことを目的としています。

この取り組みの一環として、2025年2月25日にはJR東海のイノベーション創出拠点「FUN+TECH LABO」で学生たちのプレゼン大会を開催しました。こうした活動を通じて、学生たちが「日本の未来は自分たちで創ることができる」と実感し、主体的に社会に関わる機会を提供していきたいと考えています。

異なる分野の学生たちと議論を交わすことで、様々な視点から日本の具体的な未来を創造する場を形成し、これからを担う学生たちが前を向ける社会づくりに取り組んでいきたいと思っています。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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