
考え方や価値観が変わるほどの出来事に遭遇したら、それは成長へのチャンス。明治大学の教授陣が体験した人生のターニングポイントから、暮らしや仕事を好転させるヒントを探ります。
教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【46】
結婚をして会社を退職し、大学に入りなおしたことが、私のターニングポイントであったと思います。
私の元の専門は機械工学だったのですが、会社員時代からは本格的に登山やカヤック、マウンテンバイクを始めたりと、山でのアウトドアが大好きでした。
それで退職後は、これまでの専門とは全く違う環境教育について広く学ぼうと思い、30歳で東京学芸大学に学部から入りしなおしたのです。
当初は、野外で活動する仕事ができれば、結婚後の人生も楽しく生きていけるだろうと思っていて、卒業後は自然体験学習をしている団体でボランティア活動ができたら幸せかな、というくらいの気持ちでいました。
そんな私が研究者の道に進むことになったのは、山の自然の研究で有名な小泉武栄先生という恩師との出会いがきっかけでした。
1年生の時から小泉先生のゼミや巡検(現地調査)に参加させてもらい、先生や先輩たちといろんな山へ登りながら、まるで謎解きのような自然の見方を学んで、新しいことを発見する研究の面白さに気がついたのです。
学部4年生の時には一人目の子どもが産まれて、時には、調査地の近所の方に子どもを預かってもらったり、遠方の母親に手伝いに来てもらったりして、子育てをしながら卒業論文を書き上げ、修士からは東京大学へ移りました。
修士課程1年生の時、私は地元の保育園に子どもを預けることができなかったのですが、東京大学には学内保育園が整備されており、そこでの研究者ママのネットワークも含めて、ものすごく助けられました。翌年度には、地元の保育園に入ることができましたが、帰宅が遅くなる日にはファミリーサポートの支援を受け、子どもにとっては第二の家族のような存在でした。
もともと、私は仕事を辞めたくて辞めたわけではありませんが、ふと立ち止まって、周りを見た時、どんなところにも、自分の好きになれるものはあるだろうと思います。
どこからだって好きなものを見つけて、前向きに取り組んでいけば、自ずと道は開ける。子育てをしながらでも、いま置かれている立場からでも、新しいチャレンジができる。そんな環境を、社会全体で広げていければよいですね。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。