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信念を貫くことにも自覚的であろう

伊藤 愉 伊藤 愉 明治大学 文学部 専任講師

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【82】

人間は生きている限りあらゆる人や物から“影響”を受けるのだと思います。ですから、“影響”という言葉で特定の個人を特権化する行為はあまり好きではありません。

ただ、作曲家の本田祐也、舞踏家の室伏鴻、演出家の松本雄吉と危口統之、皆さんすでに亡くなっていますが、彼らのことはとても“尊敬”しています。

本田祐也は26歳で夭折した人物で、彼の残した音楽は多くのアーティストに強烈な印象を与えました。室伏鴻は国外でも幅広く活動した舞踏家で、思考と身体表現を深く問い続けた人物です。

松本雄吉は劇団「維新派」を主宰し、唯一無二の大規模な野外劇を作り続けました。危口統之は「悪魔のしるし」を結成し、「演劇」とは何かと問い続け、独特な作品やパフォーマンスを発表していました。

各々活動の場は違いますし、性格や特性も異なります。しかし、彼らに共通しているのは「自分の信じていることを貫いた」と同時に、「周囲の人々を傷つけることがなかった」ということです(あくまで私個人の目から見た印象であり、必ずしもすべての人にとってそうではなかったと思いますが)。

信じる道を貫くためには、その責任のすべてを負わなければならず様々な苦労があります。また多少の才能も必要でしょう。

それでも自分の道を邁進しながら、周りにいる人たちを傷つけずにあり続けるということは、本当に難しいことなのではないでしょうか。

信念を貫く美しさもあるかもしれませんが、彼らから受ける印象は、そうした態度にしばしば見られる「無邪気さ」とは真逆の態度です。

それを実践することの難しさ、あるいはそこに潜む暴力性への自覚など、多くのことを彼らから学びました。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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