
2022.06.28
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
文化人類学者のクリフォード・ギアツには、文化をどう捉えるかについて大いに刺激を受けました。
例えば、私の出身地である沖縄のお墓はとても大きく、かつては支配層にあたる士族だけの特権。そのため村人たちは崖にできた洞穴などに棺を納めていました。墓地は恐怖の場所だったのです。
士族は同じ始祖を持つ父方の血縁関係という“門中制度”を持続させていましたが、明治時代になるとそれが村人にも浸透。春になるとお墓の前に親族が集まって、先祖の供養をしながら食事を楽しむようになりました。
このように同じお墓であっても、長い年月をかけて場所の意味も、人々の意識も変化していったのです。
お墓はあくまでたとえですが、自分自身が文化の中にいると変化に気づきにくいもの。しかし外から、斜めから見ることで、また違うものが浮き彫りになることもあるでしょう。
これが文化を知ることにつながっていくわけですが、別の視点からものを見る、見た目の奥にあるものを見る、という大きな意味でギアツから影響を受けました。
皆さんも、時には自分のやっていることを違う角度から見てみてください。新しい発見があるかもしれませんし、反対にちょっと違うなと思うことがあるかもしれません。
違うと思ったことに対しては、もう少しこだわってみてはいかがでしょうか。違和感があるということは、すでに何かに気づいているのですから。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。