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制限がある中で、自分なりの工夫を楽しもう

川島 範久 川島 範久 明治大学 理工学部 専任講師

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【60】

私が「サステイナブル建築・都市デザイン」というテーマに興味を持ったのは、学生時代の恩師である、東京大学名誉教授の難波和彦先生との出会いがきっかけでした。

無印良品の家「木の家」のモデルとなった「箱の家」シリーズをはじめ、数多くのサステイナブルデザイン建築を手掛けられてきた方です。

難波先生は、建築や都市を“物質性・エネルギー性・機能性・記号性”の4つの側面から捉える「建築の四層構造」を提案しています。

これは、ローマ時代の建築家ウィトルウィウスが提唱した建築の定義「強(物理的な強さ)・用(機能性)・美(美しさ)」という3つの要素をもとに、さらに強の部分を物質性とエネルギー性に分けたものです。

この4つを統合してこそ、本当のサステイナブルデザインになるのだという先生の考えに影響を受け、私は「コンピュータを用いた環境シミュレーション技術を活用してサステイナブルな建築をデザインする」というテーマでの研究と実践を継続し、近年はそれを地域デザインに展開しています。

一般的には建築のデザインというと、芸術的な側面が強く、建築家の個性が際立っているというような、派手なイメージを持たれているかもしれません。

ただ、難波先生がよくおっしゃっていたのは、徹底的に他者と向き合い、様々なことに対して配慮を重ねていった先に残るものが「個性」であり、建築のあるべき姿だということでした。

自由な状況のほうが個性を発揮しやすいように感じますが、環境問題や社会問題などに取り組むことは決して創作活動上マイナスには働かず、逆に制限がある中で工夫することこそ、創造的な建築や都市のデザインに繋がるのです。

皆さんも「君の個性は?」「自分らしさを出せ」と言われて悩むことがあるかもしれません。

そんなときは他者との関係性の中で自分を突き詰めていってはいかがでしょうか。

色々な困難が顕在化してきている今の時代、悲観的になるよりも、むしろそれに向き合うことで新しい創発が起き、クリエイティビティを発揮する余地が出てくると思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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