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世界の文学や言語に触れて自分の視野を広げよう

鵜戸 聡 鵜戸 聡 明治大学 国際日本学部 准教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【31】

私はアルジェリアを中心とするフランス語圏のアラブ文学を専門にしています。この道に進むきっかけのひとつになったのが、インドネシアの作家プラムディヤ・アナンタ・トゥールの小説『人間の大地』です。

高校生の頃に学校の図書館でなんとなく手に取ったのですが、ジャワ貴族出身の若者が民族意識に目覚め、オランダの植民地支配と戦う様子を描いたストーリーに強く引き込まれました。

ラブロマンスのエッセンスが入った青春小説としての面白さに加え、オランダ領インドネシアが日本の支配を経由して独立国家になっていく、実際の国家の成長ぶりとリンクしているところが魅力的です。

私が植民地研究を行うようになったのも、『人間の大地』のことがずっと心に残り、どこかで影響を受けていたからだと思います。

また、この作品が特徴的なのは、インドネシア語で書かれていること。プラムディヤの母語はジャワ語ですが、新しい国家の国語としてのインドネシア語を彼が成熟させ、文学言語として作り上げたのです。

当時はそこまで考えて読んでいませんでしたが、この本そのものがインドネシアという国民国家の成立を辿っているような気がしています。

いま私は大学で教える中で、学生たちには生きる力をつけるためにも、卒業するまでに自力で本を読めるようになってほしいと言っています。

社会人の方も、海外の文学を原文そのままで読むのは難しいかもしれませんが、様々な国の作家が書いた作品を手に取ってみてはいかがでしょうか。

世界の歴史や文化に触れる経験を持つことで、自分の視野がきっと広がっていきますよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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