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知られざるTPP交渉における著作権問題―表現の自由と権利者保護をめぐって―

明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授 今村 哲也

求められる法制度のリフォーム

――TPPにおける著作権の問題、さらには今後の日本の著作権に関する先生のお考えをお聞かせください。

「著作権侵害の刑事罰の非親告罪化」や「著作権保護法の延長」については、単純な立法論としては反対です。しかしTPPという貿易協定が、関税などの問題も含めてわが国の国益に資するのであれば、成立とその批准はやむを得ません。その際重要なのは、国内法を適切に制度設計することで、それら事項のデメリットを極小化することです。現行法のまま厳密に「非親告罪化」を適用すれば、多くのものが刑事罰の対象となる著作権侵害と見なされてしまいます。歯止めとなる仕組みや規定が必要と思われます。
著作権というのは、その円滑かつ適正な利用によって、表現の自由を確保し文化の発展に寄与するものです。しかし当然そこでは、著作権者の権利を保護することが必要です。今、求められているのは、著作物利用の円滑化とルールの明確化にほかなりません。日本の著作権法は時代に即してマイナーチェンジしてきました。しかし現在、法律自体をリフォームすべき時代にきていると考えています。著作権法は、契約によるライセンス(利用許諾)に基づく著作物の利用を前提としています。契約とは、いわば私人が自らの従うルールを当事者の間で定めるものですが、契約によるライセンス制度は、業者間のライセンスや音楽著作物の集中管理など一部の領域を除けば、日本は総じて未熟な状況にあります。ライセンスが未熟なのは、1970年につくった現行法の権利制限規定が、技術の発展と浸透にともなって、相対的に広すぎるものになってきたという側面も指摘できると思います。著作権が制限される分野では、無許諾でも著作物を利用できるので、ライセンスが発展しにくいからです。法制度のリフォームと適切なライセンス制度の発展が、表現の自由と著作者の権利保護の最適なバランスを実現すると考えています。

――本日は、ありがとうございました。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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