
政策において、各事業がその目的を果たし、一定の効果をあげているのかを確認することは、施策の制度設計のあり方や税金の有効活用を検討するうえで重要なことです。私は現在、学識経験者として行政事業レビューに関わらせていただいています。各事業の点検作業を通じて、成果指標を適切に設定することや、事業の効果をできる限り明確に把握することの重要性を強く感じていますので、その概要をご紹介します。
各事業の成果目標や指標が適切に設定されているかを、外部の専門家が点検
政策の各事業が適切に行われているかを点検する行政事業レビューは、各省の所管事業に対して行われています。各事業のレビューシートをもとに、事業が目的に沿って実施されているか、成果目標が目的に沿ったものとなっているか、成果指標が適切に設定されているかといった観点で、外部の専門家がチェックします。民主党政権時代の事業仕分けは、ともすれば役所の吊し上げにもなる劇場型のやり方でしたが、現在は事業の中身をきちんと確認する作業へと姿を変えています。
私自身は2023年度から関わらせていただいており、毎年、数十件の事業を拝見し、コメントをしています。誤った認識のまま事業が進められると、行政官も見通しをつけづらく、目標達成につながりにくい。成果の設定に無理がないか、実行可能性はどうか、ほかの事業との重複がないかなど、さまざまなことを指摘し、見直しの材料にしてもらっています。
国民のためになる成果目標が達成されるということは、政策がきちんと行われていることであり、税が有効に使われている証しです。そのため、十分な成果を上げられていない事業に対して、ただ「税金の無駄使いだ」と叩くのではなく、現場の行政官に改善の可能性を探ってもらうことこそが、行政事業レビューに求められる役割です。近年、さまざまな省庁が、行政事業レビューを公表するだけでなく、行政関係者と外部有識者による事業レビューの様子をインターネット中継で伝える取り組みも行っています。透明性を高めることで、事業をよりよく推進していこうという意識が広がっているのです。
もともと行政事業レビューは、オバマ政権が取り入れ徐々に浸透していったEBPM(Evidence Based Policy Making)、すなわち「証拠に基づく政策立案」の流れもくんでいます。エビデンスをもとに予算をとり、政策を進め、進捗を見ていくことが大事だというのは当然、昔からわかっていたことではありますが、EBPMが浸透するにつれ、より強く認識されるようになってきました。
耕作放棄地を抑制するための政策を例にとると、事業がいったい何%の耕作放棄の抑制につながったのか、投入した予算に対する効果を把握することは重要です。そのようなインプットとアウトプットの関係をエビデンスにして、事業の成果を見える化していくことが重視されるようになってきています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
