10代のスマホ利用時間は平日3.3時間、休日4.3時間
若者の「スマホ中毒」を示す客観的なデータがあります。総務省の「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、「モバイル機器(スマートフォン及び携帯電話)」によるインターネットの平均利用時間は、10代の平日が198.2分、休日になると258.7分にも及びます(20代は平日194.7分、休日234.4分)。つまり、平均で一日に3時間から4時間以上もスマホでインターネットをしていることになります。
インターネットとりわけSNSには膨大な量の情報が溢れています。まるで口を開けたまま絶えず水を流し込まれるように、際限なく情報が押し寄せてくるのです。人間の生理的な限界を超える量の情報を浴び続けていることを自覚しなければ、取り返しのつかない事態に陥るのではないかと、私は危惧しています。
もっとも、新聞やテレビしかなかった時代に戻ることはできません。しかし、私たちが各自で情報量を制御することはできます。世界には膨大な情報が存在し、仮に24時間かけてもすべてを吸収することは不可能です。だからこそ、情報の取捨選択が不可欠になります。
私は現在もスマホを持たず、テレビすらなく、毎朝1時間から1時間半かけて新聞を読みます。それでほぼ十分だと感じています。インターネットはパソコンで天気予報や交通情報を見る程度で、SNSは一切利用しません。日々の情報収集において不便を感じたことはなく、新聞だけでも極めて濃密な情報が得られることを強調しておきたいです。もちろん、これはあくまで私個人の生活スタイルであり、誰にでも勧められる方法ではないでしょうが、情報環境を主体的に選び取る姿勢の一例として参考になればと思います。
一方、人々の「情報源」としてのインターネットの存在感が増しているのもまた確かです。前出の総務省の調査によれば、利用メディアの目的として「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ためが10代から50代で「インターネット」が最も多く、さらに「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」ためにおいても20代及び30代で「インターネット」を最も利用しているという結果が出ています。
こうした状況のなか、ジャーナリズムの現場は大きく変化しています。新聞や雑誌などのメディアは紙媒体からインターネットに重点を移しています。その背景にはスマホの普及があるのは間違いありません。たとえば朝日新聞のデジタル版では、利用者の7割以上がスマホなどのモバイル端末からアクセスしているとされています。
また、紙の新聞購読率が年々低下していることは周知の通りです。新聞社は、かつて無料で記事を配信していたモデルから有料化へと舵を切りましたが、同時にSNSで無料記事を拡散させる戦略もとっています。問題は、それが新聞社の収益基盤を本当に支えているのかどうかです。デジタル版の収益は主に購読料と広告収入に依存しており、このモデルで紙の売上減少を補えるのか、大いに疑問です。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
