国内農業を守るため、群を抜いて高く設定された輸入米に対する関税
米不足を受けて、もっと積極的に米を輸入するべきだという議論や追加輸入の要請もありました。そもそも、日本の米の輸入状況はどうなっているのでしょうか。
戦後、貿易自由化のためにつくられたGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が1993年にまとめたGATTウルグアイ・ラウンド合意により、日本は毎年77万トンの米を輸入することが事実上義務づけられました。しかし、すでに国内では米が余っており、水田での主食用米以外の作物の作付けに対して政府が補助金を支給する減反政策も行っていたため、受け入れ時には大きな反発がありました。
現在、日本ではこの77万トンを超える輸入米に対して、1kgあたり341円という非常に高い関税を設定しています。2005年に農水省が発表した試算によると、関税率はパーセント表示で778%に上るとのことです。自動車などの工業製品に比べ、農産物の関税はどの国も高いのですが、そのなかでも群を抜いて高いと言えます。
ここからわかるように、トランプ大統領の700%という発言はあながち間違いではありません。しかしあの発言は、一律の相互関税や自動車等の分野別関税を発動する正当な根拠として、アメリカよりもっと高い関税をかけている国があるという例示であって、EUや他国も同様に非難されています。日本政府としては、高い関税を設定して国内農業を守っているのですが、トランプ大統領にいいように使われてしまったわけです。
ただ今回、国内の米の価格があまりに上がりすぎたため、高い関税を払っても利益が得られる状況になり、民間による輸入が増えています。とはいえ、国内の米の価格が下がれば、輸入米での儲けはなくなるので、この状況も自然と終わり、本来のあるべき姿に戻っていくでしょう。
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